がん化学療法
がん化学療法は、新薬の登場、治療方法の進歩が著しい治療法です。しかし反面、副作用が発現しやすい、用法・用量が疾患毎・患者さん毎で異なる、投与量・投与方法を誤ると生命を危険にさらす等リスクの高い治療法でもあります。そのため、当院では、医師が間違った処方をすることがないように、がん化学療法レジメンシステムを用い、薬剤部にて統一管理を行っています。また、薬剤師は抗がん剤の無菌調製をはじめ、がん薬物療法の安全管理に貢献しています。
抗がん剤のレジメン管理
抗がん剤は、その投与量において治療域と副作用発生域が近接しており、使い方を誤れば大きな事故を招きます。そのため、抗がん剤はその投与量、投与回数、休薬期間、また副作用を抑えるのに必要な支持療法(輸液や制吐剤など副作用予防のための薬など)を時系列順に規定した‘レジメン’に従って投与が行われます。当院では、2007年11月にレジメン審査専門部会が設置されました。薬剤部はレジメン専門部会の事務局として、すべてのレジメンの審査、登録、削除に関わっています。審査時には申請内容のチェックの他、あらかじめ支持療法や投与方法の検討を行うなど、レジメン相談窓口としての機能を担っています。
抗がん剤適正使用のチェック
薬剤師は、医師が患者さんに使用予定の抗がん剤治療が、患者さんの病態にあった適切なレジメンか、体の大きさや検査値に合った適切な投与量か、内服薬を含め使用している薬剤との相性(相互作用)に問題はないか等を事前に患者さん毎にチェックしています。これらに問題点が見つかった場合は医師に連絡し、変更をお願いしています。薬剤師は、患者さんが適正で安全な抗がん剤治療を受けられるように貢献しています。
抗がん剤無菌調製
抗がん剤は正確な秤量や特別な溶解方法など、一般薬に比べて厳密な調製が必要な薬剤です。当院では、治療に使われるすべての抗がん剤を、正しい調製手技を習得した薬剤師が調製しています。また、抗がん剤の拡散は環境汚染・健康被害の原因となるため、安全キャビネット内にて適切な器具を用いて調製することで、調製者である薬剤師や投与者の医師・看護師などの安全管理にも注意しています。
土日休日も対応しており、常に安全な薬剤の提供を心掛けています。
外来がん患者指導
がん化学療法は薬剤の進歩や副作用対策の改善により、外来で可能な治療が増えています。通院治療センターではがん化学療法の専門的知識のある薬剤師が、看護師、医師と連携をとり、適切で安全な抗がん剤治療が受けられるよう、処方提案を行っています。
新しい抗がん剤治療が始まったときには、抗がん剤の投与方法、効果、副作用などの説明を行います。2回目以降の面会では、副作用をモニタリングし、必要であれば医師へ副作用軽減の薬剤の提案も行います。