最終更新日:2022/10/03

診療内容

診療科長(部長)永野 拓也

肝臓内科では、現在4人の肝臓学会専門医と初期研修医により、ウイルス性肝炎、自己免疫性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患を含む脂肪肝、肝硬変、肝細胞癌や胆管細胞癌等の肝腫瘍の診断と治療を行っています。
 全国的にも新規の肝細胞癌の発生は減少傾向にありますが当院でも同じ傾向です。当院における肝細胞癌の治療は、肝癌のステージと肝予備能と患者背景に応じて外科と内科で治療方針を検討し行ってきました。内科ではこれまでは肝動脈化学塞栓療法(TACE)を年間約250回前後、ラジオ波凝固療法(RFA)を年間約100例前後の治療を行ってきましたが、新規肝細胞癌発生の減少、再発までの期間の延長、さらに分子標的薬と免疫チェックチェックポイント阻害剤と薬物治療の選択枝も増えたことでTACEとRFA症例数は減少傾向にあります。分子標的薬には内服剤ではソラフェニブ《ネクサバール》やレゴラフェニブ《スチバーガ》、レンバチニブ《レンビマ》、カボザンチニブ《カボメティクス》、注射製剤であるラムシルマブ《サイラムザ》、アテゾリズマブ《テセントリク》、ベバシズマブ《アバスチン》があり、当院ではこれまでに約250例近くの症例に投与しています。分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬は肝予備能が保たれていないと良好な効果が期待できませんので、肝癌進行度と肝予備能を考慮して肝予備能が保たれている時期にこれらの薬剤を開始することが重要です。よってTACE不応・不能・不適症例においては肝予備能が低下する前に薬物治療を導入しています。最近の肝癌診療の流れでは、肝予備能の保たれている症例において、切除不能、TACE不応・不能・不適、また焼灼術の適応がない場合は薬物療法がfirst lineとなっており、自己免疫性疾患などリスクが無い症例においてはアテゾリズマブとベバシズマブアバスチンの複合免疫療法で治療を開始する事が推奨されています。
 肝疾患の評価、精査と治療に必要な画像検査には超音波診断装置、CT、MRI、血管撮影装置、PET-CTを用いています。超音波造影剤(ソナゾイド)による造影超音波検査や仮想超音波装置を用いることでより安全かつ正確にRFAが治療できるようになり、治療成績も上がってきています。新型のマイクロ波焼灼装置では焼灼径が40mm程度でほぼ球形の焼灼範囲が得られますので、ラジオ波治療では複数回の穿刺焼灼が必要であった大きめの病変にも1回の穿刺で治療が行えます。TACEとRFAの入院期間は当院の入院パスではそれぞれ8日間と5日間ですが、病勢、肝予備能と患者背景に応じて短縮・延長することがあります。また肝生検と腫瘍生検の入院パスは一泊二日です。

 C型肝炎は内服薬だけで完治する時代となり、今までの治療で治らなかった患者さんでも、新たな患者さんでも副作用が少なく、より治療効果が高い治療が肝炎助成制度を利用して安価(ほとんどの方が月1万円×3ヶ月)で治療が可能ですので、是非内服治療を勧めてご紹介ください。当院でも2014年10月より内服薬だけの治療を、2022年8月現在745名に行っており、1型と2型に関係なく96.2%の患者さんに治癒効果を認めています。これまでは慢性肝炎と代償期肝硬変までが駆除治療の対象でしたが、非代償期の肝硬変に進行している場合にも3ヶ月間の内服でC型肝炎ウイルスを駆除できるようになりました。肝線維化が進んだ症例においてはウイルス駆除後に発癌する例も存在しますので可能な限り画像と腫瘍マーカーでフォローが必要です。 

 B型肝炎に対しては、ペグインターフェロン療法(PEG-IFN)や核酸アナログ製剤のラミブジンゼフィックス》、アデフォビル《ヘプセラ》、エンテカビル《バラクルード》、テノフォビル《テノゼット》、テノホビルアラフェナシド《ベムリディ》で治療を行っており、核酸アナログ製剤は414例の患者さんが内服しており、良好な治療成績を得ています。核酸アナログで肝機能が正常化し、HBV-DNAが陰性化しても肝細胞癌が出現することも明らかとなってきており、B型肝炎の治療の最終目標はHBs抗原の消失です。HBs抗原陰性化が可能となる薬剤が登場するまでは現在使える核酸アナログとPEG-IFNで治療を行うことになります。

 またB型肝炎再活性化については、院内で行ってきた注意喚起が浸透し当院ではHBVが再活性化することなく化学療法や免疫抑制剤治療を遂行できています。HBs抗原が陽性の場合B型肝炎を発症する可能性がありますが、HBs抗原が陰性の場合でも、HBs抗体・HBc抗体のいずれかが陽性の場合はHBs抗原陽性例と同様にB型肝炎を発症する可能性がありますので定期的に肝機能とHBV-DNAのチェックが必要となります。悪性リンパ腫のリツキサンや、リウマチ患者さんに使用するTNF‐α阻害剤(レミケード、ヒュミラ、シンポニー、オレンシア等)を使用する際には特に注意が必要ですが、ステロイド治療も投与期間が2週間を超える場合は同様の扱いが望ましいとされています。

 最近はお酒を飲まない人の脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が問題となっています。当院においても新規の肝細胞癌の約半数がNASHを疑う肝疾患からであり、これからも線維化のある脂肪性肝疾患のフォローが重要です。NASHの診断には肝生検が必要ですが、ファイブロスキャンで肝硬度と脂肪量を測定することにより、非侵襲的に線維化のある脂肪肝であるかどうかの鑑別ができますので脂肪肝で肝機能異常を有する方がおられましたら是非ご紹介いただければ幸いです。また10日間の入院で脂肪肝についての学習・生活指導を行う脂肪肝パスを用いた入院も実施しています。 

 平成20年度より香川県の肝疾患診療連携拠点病院に指定されており、肝疾患の診断や治療に関す る情報を地域の専門医療機関と共に協議していく場を設け、かかりつけ医や地域住民を対象とした研修会や講演会の開催を行っております。2011年度より肝炎相談支援センターを開設し、肝疾患に関する知識の普及や相談業務とともに、最近は出張肝臓病教室、出張無料肝炎検診も行っておりますので、気軽にご相談いただければ幸いです

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実績

C型慢性肝炎の治療は、ペグインターフェロン(Peg-IFN)からウイルス増殖に重要な働きをもつHCV蛋白を直接阻害する経口薬である DAAs(direct acting antiviral agents)に置き換わってきましたが、前述のように現時点で745例の患者さんを治療してきました。治療が難しい患者さんがおられれば気軽にご紹介頂き受診していただければと考えています。また、B型肝炎に対する核酸アナログ製剤の投与症例は414例に実施しています。肝細胞癌に対する治療ですが、新規発生数が減少したことで 治療件数も減少していますが、2021年度の実績数は肝動脈化学塞栓術は104例、経皮的ラジオ波焼灼術の症例数は年間38例と前年と比べ減少し内科的局所治療で根治治療が困難な症例ではまず薬物療法を実施していく方針を反映した結果となっています。これまで通り県下ではトップクラスの症例数となる治療を行っており、拠点病院としての役割を果たしてきています。

診療予定表

午前

月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日

妹尾 知典

髙口 浩一

髙口 浩一

永野 拓也

筒井 朱美

午後

月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日

妹尾 知典

永野 拓也

髙口 浩一

永野 拓也

筒井 朱美

※医師が学会等出張の場合、休診となることがあります。

○受付時間は午前8時15分~午前11時
(再来受付機 予約診療:午前8時15分~午後4時
       予約外診療:午前8時15分~午前11時)

スタッフ紹介

たかぐち こういち

髙口 浩一

髙口浩一

職種 役職

医師 院長

出身校 卒年

岡山大学 昭和61年

専門

肝臓・消化器

資格

  • 日本内科学会 総合内科専門医・指導医
  • 日本消化器病学会 専門医・指導医
  • 日本肝臓学会 専門医・指導医
  • 日本超音波学会 専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
  • 日本医師会 認定産業医
  • 日本病院総合診療医学会 認定医

ながの たくや

永野 拓也

永野拓也

職種 役職

医師 部長(診療科長)

出身校 卒年

島根医科大学 昭和63年

専門

肝臓
消化器

資格

  • 日本内科学会 総合内科専門医・指導医
  • 日本消化器病学会 専門医・指導医
  • 日本肝臓学会 専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会 専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 日本医師会 認定産業医

せのお とものり

妹尾 知典

妹尾知典

職種 役職

医師 部長

出身校 卒年

高知医科大学 平成2年

専門

肝臓
消化器

資格

  • 日本内科学会 総合内科専門医・指導医
  • 日本消化器病学会 専門医・指導医
  • 日本肝臓学会 専門医・指導医

つつい あけみ

筒井 朱美

筒井朱美

職種 役職

医師 部長

出身校 卒年

徳島大学 平成2年

専門

肝臓
消化器

資格

  • 日本内科学会 認定内科医
  • 日本消化器病学会 専門医・指導医
  • 日本肝臓学会 専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医