血管造影
血管撮影装置はカテーテルと呼ばれる細い管を血管の中に入れてX線にて撮影することで、血管の形状を把握する造影検査や、異常な血管・部位をデバイスと呼ばれる器具で治療するインターベンションを実施するためのX線装置です。インターベンション治療は一般的な外科手術と比較して侵襲性が低く患者様への負担が少ない治療として広がっています。
頭部血管造影検査
頭部・頚部領域では、動脈瘤や出血部位、狭窄部位の確認や、それにあわせて、塞栓術や拡張術といった治療を行います。
腹部血管造影検査
腹部領域では、腫瘍の数や位置を特定し、動脈塞栓療法や動注療法と呼ばれる治療を、また、出血部位に対しては塞栓術を行います。
最近では、胸部・腹部動脈瘤の治療としてステントグラフト挿入術も行っています。
循環器(心血管)造影検査
心臓に栄養や酸素を送っている冠動脈を写し出し、狭窄や閉塞があれば、位置や形状を確認し拡張する治療を行います。
その他として血栓予防の為に静脈フィルター挿入術や心臓機能の補助としてのペースメーカー移植術をしています。

当院では、2025年5月より血管造影装置の更新を行いました。
今回導入された装置は2つの異なるサイズを搭載したフラットパネル検出器バイプレーン式血管撮影装置で、脳神経外科領域を中心に心臓領域や下肢領域等全身領域のインターベンションを実施することが可能です。特に2つの検出器を搭載しているため1回の造影撮影で2方向から同時に画像を得ることが可能になり患者様の負担を最小限に抑えます。さらに従来よりも4倍の性能を誇る最新型検出器により通常の半分以下の被ばく線量で検査・治療が行えるようになったほか、頭部領域の細かな血管構造を瞬時に把握する3Dイメージング機能など、最新のガイダンスツールを搭載して、より安全で確実なインターベンション治療を提供します。
Hybrid手術室(モバイル3D)
当院では、手術室に血管造影撮影装置と手術台を組み合わせたハイブリッド型手術室が稼働しています。
胸部・腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療、ステントグラフト治療を組み合わせた手術、閉塞性動脈硬化に対するバイパスとバルーン血管拡張術を組み合わせた手術や血栓除去術などを行います。
その他、心臓領域の経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)に始まり、経皮的左心耳閉鎖術(Watchman)、経皮的僧帽弁形成術(MitraClip)、卵円孔閉鎖術(PFO)、整形外科領域では脊椎や骨盤でのナビゲーション手術、呼吸器外科によるVATS手術など、あらゆる診療科で用いられ、今後、救急領域など、さらなる活用が期待されます。
当院では、2025年3月よりHybrid手術室を、2024年12月より移動型X線透視診断装置(CB-CT撮影対応可)の更新を行いました。
低被ばくと高画質の両立を追求するとともに、多様な患者様に対応する柔軟性や、救急対応を見据えたスマートな操作性を備えています。また、床置き式アームによる高い清浄度と、手術室内での柔軟なレイアウトを実現し、X線ガイド使用時はもちろん、X線ガイドを使用しない外科的直達手術においても、術者に快適な手術環境を提供します。


実績 Hybrid手術件数内訳 2024年度
| 件数 | 内訳 | ||
| 整形外科 | 194 | 骨盤 | 22 |
| 頸椎 | 21 | ||
| 胸椎 | 18 | ||
| 腰椎 | 132 | ||
| 心臓血管外科 | 99 | TEVAR | 24 |
| EVAR | 50 | ||
| 血栓除去(上肢) | 2 | ||
| 血栓除去(下肢) | 17 | ||
| 循環器内科 | 57 | TAVI | 45 |
| MitraClip | 5 | ||
| WATCHMAN | 4 | ||
| リード抜去・その他 | 3 | ||
| 呼吸器外科 | 15 | VATs | 14 |
| 肋骨外固定 | 1 | ||
| 脳神経外科 | 3 | 血管 | 1 |
| その他 | 2 | ||
| その他 | 11 | 神経叢ブロック | 5 |
| 外傷 | 2 | ||
| UAE等 | 1 | ||
| その他 | 3 | ||
| 総数 | 379 |


