最終更新日:2023/12/05

脳神経外科における過去5年間の手術件数

脳神経外科における手術治療は、手術機器や装置の進歩により日々進化し、選択肢も多様化してきていますが、すべての面において、生命予後のみならず機能的な予後を尊重して、患者の生活を護る手術を行っています。脳腫瘍は、脳腫瘍センターの設置に伴い、手術件数が著しく伸びています。言語野の近傍に発生した脳腫瘍に対しては、言語野を護りつつ脳腫瘍を摘出する「覚醒手術」を導入しました。脳動脈瘤に関しては、破裂する前にみつかる未破裂脳動脈瘤が増えていますが、開頭クリッピング術、血管内コイル塞栓術というふたつの治療方法から、それぞれの患者さんに適した治療法を選択して行っています。また、神経内視鏡の登場により、下垂体腫瘍摘出術はすべて内視鏡下に行われるようになり、脳出血に対する血腫除去術も、大きく開頭しない低侵襲の内視鏡手術が増加傾向にあります。

過去5年 脳神経外科手術

  2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
脳腫瘍摘出術 30 44 47 45 46
広範囲頭蓋底手術 2 2 4 2 2
経鼻的下垂体腫瘍摘出術 2 5 1 3 7
開頭動脈瘤クリッピング術 25 9 6 10 9
  破裂脳動脈瘤 9 3 2 5 3
  未破裂脳動脈瘤 16 6 4 5 6
開頭脳内血腫除去術 28 13 15 8 16
  外傷性 14 8 5 5 9
  非外傷性 14 6 10 3 7
内視鏡的血腫除去術 10 3 3 6 8
脳動静脈奇形摘出術 0 1 1 2 1
頸動脈血栓内膜剥離術 8 6 4 3 2
バイパス術 1 0 6 4 7
減圧開頭術 5 8 3 11 3
穿頭洗浄術 35 51 41 54 53
髄液シャント術  (V-P、L-P) 17 30 12 18 32
内視鏡的第3脳室底開窓術 1 7 5 1 2
脳室ドレナージ術 18 21 13 8 13
頭蓋形成術 9 11 8 9 9
神経血管減圧術 4 5 7 10 14
脊髄手術 2 0 2 3 0
その他 6 9 18 10 11

血管内手術過去5年間の件数

 血管内手術は、開頭手術に比べて低侵襲かつ迅速な治療法であり、治療デバイスの進歩と相まって、近年手術件数が増加しています。特に急性期脳梗塞に対する血栓回収療法は、ガイドラインでの推奨度が上がり、急激に増加しています。脳卒中は、時間との闘いですが、当院には血管内治療専門医2名と血栓回収認定医1名が在籍しており、1年365日24時間オンコール体制で救急対応していますので、安心して救急医療を受けていただけます。頚部内頚動脈狭窄症に対する治療法は、従来は頚部で血管を切開する内膜剥離術が主流でしたが、心臓ほかに動脈硬化性あるいは虚血性の合併症をもつハイリスク患者さんなどでは、より低侵襲な血管内治療によるステント留置を行う件数が増えています。

血管内手術過去5年間の手術件数

  2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
脳動脈瘤塞栓術 22 14 17 26 31
  破裂脳動脈瘤 13 9 12 14 24
  未破裂脳動脈瘤 9 5 5 12 7
動静脈奇形 (AVM,AVF) 1 2 0 2 4
血栓回収術 13 37 32 44 37
頸動脈ステント留置術 4 20 10 7 23
その他の閉塞性脳血管障害 1 3 1 7 2
その他 2 24 14 9 17

超急性期脳梗塞治療(t-PA)過去5年間の件数

 脳梗塞発生後4.5時間以内であれば、血栓溶解剤t-PA(アルテプラーゼ)の静注投与により、閉塞した血管の再開通をはかることが可能です。最近は、大血管閉塞の場合は、血管内手術による血栓回収術を併用するケースが増加しています。

過去5年間のt-PA(アルテプラーゼ)治療件数

2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
11 20 16 21 20