悪性胸膜中皮腫
アスベスト(石綿)は鉱物の一種で,かつては建築物など多くのものに使用されていました.中皮腫は吸入してから平均35年前後経ってから発病することが多いとされています。確定診断のためには胸腔鏡を用いて外科的に組織を採取することが必要です.そして,中皮腫のうち根治手術が受けられる方は適応となるごく一部に限られます.手術の方法は,胸膜肺全摘術と胸膜切除/剥皮術の二通りがあります.前者では片側の全肺と胸膜を一塊に摘出しますが,後者では肺を温存して薄皮を剥がすように胸膜のみを切除します.どちらの手術もたいへん難しく,患者さんの負担も非常に大きい術式です.ただし,手術のみでは病理学的に完全切除することが難しいため,化学療法を併用する必要があります.