最終更新日:2022/03/15

一般外科

鼠径(そけい)ヘルニア、大腿(だいたい)ヘルニア

体の一部分が正しい位置からはみだした状態のことをヘルニアといいます。鼠径部のヘルニアを鼠径ヘルニア、大腿部のヘルニアを大腿ヘルニアといいます。良性疾患ではありますが、腸管がはまりこんだ状態(嵌頓)のまま放置しておくと、腸閉塞や,腸管壊死に陥り、生命の危機に瀕することがあります。この場合、緊急手術が必要となる可能性があります。足の付け根が膨らんだり、へこんだりしている症状を認めた段階で、「腸管」をもとの位置にもどし、手術することをお勧めします。決して経過観察していても治ることはありません。

片側の場合

「腰椎麻酔(いわゆる下半身麻酔)、または全身麻酔」にて手術を行います。5cm程度の皮膚の傷で施行します。はみだした腸管を覆っている「伸びきった膜(腹膜)」を「切除、縫合(ほうごう)閉鎖」します。さらに「人工物のシートやプラグ」で裏打ちさせて「腸管」が出入りしていた孔を閉鎖させます。手術時間は1時間程度で、入院期間は3日程度です。退院後はすぐに日常生活が可能です。
症例に応じて、メッシュプラグ法(下図)、ダイレクトクーゲル法、クーゲル法等の方法で修復、後壁補強を施行します。

片側の場合

両側の場合

通常「全身麻酔」にて腹腔鏡下ヘルニア修復術(腹腔内到達法(TAPP)、腹膜外到達法(TEP)を行います。2cm未満の皮膚の傷を3か所程度で施行します。体表側からでなく、腹膜側(TAPP)、または腹膜の外側(TEP)から裏打ちする方法です。手術時間は2時間程度で、入院期間は5日程度です。

両側の場合

急性虫垂炎

急性虫垂炎は、大腸の一部である盲腸の下端に突出した虫垂突起の炎症です(下図)。症状は、腹痛・発熱となりますが、初期対応が遅れた場合、腹膜炎に移行することがあります。近年抗生剤の発達により、多くの症例が手術をせずに抗生剤で保存的に治療可能となってきております。しかし、炎症の程度が強い場合、繰り返す炎症など手術が必要な場合もあります。入院期間は1週間程度です。
手術を行う場合は、炎症の程度により通常の小開腹手術か腹腔鏡手術が選択されます。いずれも手術時間は1時間程度で、入院期間も1週間程度です。

腹腔鏡法の創部

腹腔鏡法の創部

胆石症・胆嚢炎・総胆管結石

胆石症は当科において最も多い胆道疾患であり、年間150例の手術を行っております。右季肋部痛、発熱、黄疸などの症状を有することがあり、時に敗血症・腹膜炎に移行することもあります。症状を有する場合、無症状でも多数の結石を有する場合、手術が必要になる場合があります。
当院では、基本的には腹腔鏡下手術を基本としております。急性胆嚢炎においても、発症から72時間以内であれば、腹腔鏡下手術で行っております。入院期間については平均3-4日程度となっております。以下に一般的な腹腔鏡下手術の図を示しておりますが、症例によっては、より傷の少ない単孔式腹腔鏡下手術(傷がおへそのみ)も積極的に導入しております。
また、総胆管結石については、消化器内科と協議しながら内視鏡下に治療を行っておりますが、困難症例である場合は手術において治療しております。

腹腔鏡下手術(標準)

腹腔鏡下手術(標準)

単孔式腹腔鏡下手術

単孔式腹腔鏡下手術