最終更新日:2023/08/24

上部消化管(胃・食道)

上部消化管外科チームでは、主に食道癌と胃癌に対する外科治療と周術期・再発時の抗癌剤治療を行っています。また当科は、2023年4月に質の高い胃癌治療を提供していくことを目的とした制度が日本胃癌学会において制定され、「認定施設A」(全国127施設)と認定されました(日本胃癌学会https://www.jgca.jp/nintei_02.html)。 

 治療は基本的に各治療ガイドラインに準拠し、内視鏡医、腫瘍内科、放射線科、リハビリ科などと連携して治療方針を決定しております。一方で、全国で実施されている臨床試験にも積極的に参加し、将来的に標準手術となり得る最新の治療法を取り入れることで、常に治療成績の向上を目指しております。2017年には、JCOG胃がんグループ参加施設に承認され、科学的根拠に基づいた最新・最善の治療法を、より早く患者さんに提供する体制が整ってきております。また、上部消化器癌(食道癌・胃癌)の術後は、食欲低下による体重減少や骨格筋減少が懸念されます。そして、「周術期の栄養やリハビリの徹底」が再発率や合併症率を抑えるとも近年報告されております。特に高度進行癌においては、術前術後の抗癌剤治療を実施することが多く、治療を受ける上で「体を整える」ことが非常に重要であると考えており、当院ではリハビリ科、理学療法士、管理栄養士、薬剤師など多職種による密な連携により、術前の段階から「積極的な栄養療法・運動療法」を取り入れることで、予後の向上だけでなく、日常生活におけるQOLの向上も目指しております。  食道癌治療は、消化器内科に加え、放射線科、頭頸部外科(耳鼻科)とも連携して、内視鏡治療、手術、放射線療法、化学療法、ステント治療など、様々な治療法の中から、各患者さんにとって最適な治療をオーダーメードで行っています。手術は胸腔鏡下手術、再建は腹腔鏡下手術を標準術式としております。食道手術は侵襲の大きな手術ではありますが、その中でもより患者さんに対し低侵襲性を心がけ、周術期管理も標準化させることで、より安全で正確な治療を心がけています。

胃癌手術については、患者さんの状態や癌の進行度に応じて、開腹手術、腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術の中から最適なアプローチ法を提示した上で手術を行っております。当科は、内視鏡外科学会技術認定医(胃領域)・ロボット支援手術における術者認定医(胃)が2名在籍しております。また、2018年7月には厚生労働省より「胃癌に対するロボット支援手術」の認定施設として承認され、幽門側胃切除・胃全摘・噴門側胃切除の3術式が保険適応内で治療が可能となりました。ロボット機能を活かした手術を行うことで、より繊細で安全な手術を提供できると考えております(ホームページ参照)。また当科の特徴として、腫瘍学的な根治度が得られる範囲内で、極力胃全摘を回避することを心がけており、機能温存術(噴門側胃切除術や胃亜全摘術など)を積極的に行っております。高度進行胃癌に対しては、腫瘍内科と常に連携して方針を決定し、術前化学療法や拡大手術(Conversion手術)を積極的に導入し、さらなる予後の改善を目指しております。

 GIST等の粘膜下腫瘍については、機能温存を目的にした切除範囲縮小のために、消化器内科と連携した腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)を行い、患者さんへの負担の低減を図っています。  

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