最終更新日:2023/06/29

アルツハイマー型認知症について

アルツハイマー型認知症は認知症の原因となる疾患の約50%(当院データより)を占める重要な疾患です。アルツハイマー型認知症では、海馬をはじめ大脳皮質の萎縮が起こり、記銘力や実行機能などの認知機能が低下します。この原因として注目されている物質に、アミロイドβ蛋白とタウ蛋白があります。アルツハイマー型認知症が発症するメカニズムの一つとして、アミロイドβ蛋白が脳の神経細胞に蓄積し、更にタウ蛋白が溜まって神経細胞が破壊されるという仮説(アミロイド仮説)があります。この中ではアミロイドβ蛋白の脳への蓄積は、実は認知症発症よりも20年以上前からゆっくり進行していることが知られています。
現在はアミロイド蛋白やタウ蛋白をPET検査や脳脊髄液検査で確認することが技術的には可能になっていますが、これらの物質をコントロールする治療法が開発されていない現状では、アルツハイマー型認知症の発症前診断をする意義がないため、通常診療としては行われていません。また、アミロイド陽性でも病気にならないいわゆる擬陽性の人たちが少なからず存在するということも診断上の課題として残ります。
現在のアルツハイマー型認知症治療薬はコリンエステラーゼ阻害薬といって、脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの量を増やして、脳機能を維持させる薬が中心となっています。これらの薬剤を使用することで認知機能を維持できる場合もあるため、これらの薬剤の登場によりアルツハイマー型認知症を早期に診断することや他の認知症と鑑別することの重要性は高まっています。
当院では臨床心理士による認知機能検査、MRI、脳血流SPECT検査などでアルツハイマー型認知症の早期診断に努めています。

認知症の早期診断のため、ものわすれ外来を開設しています。かかりつけ医を通じて予約をお取りください。

アルツハイマー治験のお知らせ

当院では、軽度アルツハイマー型認知症患者さんを対象にした治験を実施します。

治験に関するお問い合わせは神経内科外来まで(午前中は電話が混み合いますので、治験に関するお問い合わせの電話は午後2時~5時までの間にお願いします。)