最終更新日:2024/02/26

重症筋無力症について

 MG患者さんは国内に約3万人いらっしゃると考えられます。MGは国が定める難病(特定疾患)に含まれており、重症度など基準を満たす方は医療費の補助を受けることができます。香川県内では約250人の患者さんが難病の申請をされています。

症状
 全身の筋力低下による様々な症状がありえます。筋収縮を続けると筋力が低下し休息によって回復すること、症状の日内変動があり夕方に症状が悪化すること、が特徴です。

  • 易疲労感(疲れやすさ)、倦怠感
  • まぶたが下がる
  • 目の動きが悪くなり、ものが二重に見える
  • しゃべりにくさ
  • のみこみにくさ
  • ものを噛むときのあごの疲れ
  • 顔面の筋力低下
  • 呼吸困難
  • 頸部筋力低下による首下がり
  • 四肢の筋力低下(自分の体に近い側でよく生じる)

検査

  • 眼瞼の易疲労性試験:1分間上方を見続けてまぶたを疲れさせ、症状が悪化するかどうかをみる
  • アイスパック試験:冷凍したアイスパックを眼球に押し当て、2分後に症状が改善するかどうかをみる

これらは診察室で外来受診時に行うことができます。

  • エドロホニウム(テンシロン)テスト:エドロホニウムという薬剤を静脈内投与し、症状が改善するかどうかをみる
  • 反復刺激試験:顔面、肩、手の筋肉を電気的に刺激して、波形の変化をみる

  これらの検査に加えて、他の疾患でないかどうかを確認するための検査があります。血液検査、髄液検査、頭部・脊髄のMRI、神経伝導検査(末梢神経の働きをみる)などです。これらの検査を行った上で診断し、治療を行います。

治療とその先
 症状が強くでているときは、メチルプレドニゾロン静脈内投与療法(ステロイドパルス療法)、免疫グロブリン静注療法(IVIg)、血漿浄化療法を行います。いずれも原則入院して行い、いくつかの療法を組み合わせて行うこともあります。
 上記治療で症状が治まれば、再度増悪しないようにするための治療をはじめます。具体的にはステロイドの内服、免疫抑制剤の内服などです。いずれの薬も長期に渡って内服すると副作用を生じることが懸念されるため、できるだけ少量の内服薬で症状をコントロールし、増悪した際にはステロイドパルス療法等の治療をすみやかにに行い、基本的に内服している薬の量が増えないようにします。
 近年は分子標的治療薬という新しいタイプの重症筋無力症治療薬も使われており、難治の重症筋無力症の方に導入されています。上記治療は全身に症状を生じた重症筋無力症の方に一般的に行われる治療ですが、検出された自己抗体の種類や目の周りだけに症状が限局している場合などは治療方針が異なります。気になる症状があればはやめに医療機関を受診し、脳神経内科の診察をうけるようにしましょう。

 当院は香川県高松市の三次救急病院であり、増悪時の治療や維持療法としての分子標的薬の導入も可能です。重症筋無力症を心配されている患者さん、ご家族の方は一度相談してみることをご検討ください。

リンク:(脳神経内科ホームページのトップへ)