最終更新日:2025/12/01

診療内容

診療科長(部長)永野 拓也

 肝臓内科では、現在4人の肝臓学会専門医と初期研修医により、ウイルス性肝炎、自己免疫性肝疾患、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MAFLD)、肝硬変の合併症に対する治療、肝細胞癌や胆管細胞癌等の肝腫瘍の診断と治療を行っています。当院における肝細胞癌の治療は、肝癌のステージと肝予備能と患者背景に応じて外科と内科で治療方針を検討し行っています。肝臓内科では、局所治療として肝動脈化学塞栓療法(TACE)、ラジオ波凝固療法(RFA)もしくはマイクロ波凝固療法(MWA)を行っています。
 新規肝細胞癌発生の減少、再発までの期間の延長、さらに分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬と薬物治療の選択枝も増えたことでTACEとRFA症例数は減少傾向にあります。切除不能、局所療法不能の進行肝癌においても、薬物治療と局所療法を集学的に行うことで予後延長が得られるようになりました。局所療法は根治治療や免疫賦活効果に重要な役割を担っています。薬物治療には内服剤ではソラフェニブ《ネクサバール》やレゴラフェニブ《スチバーガ》、レンバチニブ《レンビマ》、カボザンチニブ《カボメティクス》、注射製剤であるラムシルマブ《サイラムザ》、アテゾリズマブ《テセントリク》、ベバシズマブ《アバスチン》、トレメリムマブ《イジュド》、デュルバルマブ《イミフィンジ》があります。分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬はPS良好で、切除不能、TACE不応・不能・不適、焼灼術が不適・不能、肝移植が適応とならない肝細胞癌に使いますが、肝予備能が保たれていないと十分な投与量と治療期間がもてず、良好な効果が期待できませんので、肝癌進行度と肝予備能を考慮して薬剤を開始することが重要です。最新の薬物療法アルゴリズムでは、自己免疫性疾患が無い症例においてはアテゾリズマブとベバシズマブ、トレメリムマブとデュルバルマブの複合免疫療法もしくはデュルバルマブ単剤で治療を行う事が推奨されています。一方、自己免疫性疾患が存在するなど免疫チェックポイント阻害剤が使えない場合は分子標的薬を使います。薬物治療で完全著効に至るケースは少なく、腫瘍が縮小した場合は切除、TACE、焼灼術で根治を目指していきます。今年夏からニボルマブ《オプジーボ》とイピリムマブ《ヤーボイ》2剤による治療も始まります。
 肝疾患の評価、精査と治療に必要な画像検査には超音波、CT、MRI、血管撮影、PET-CTを用いています。2025年5月末に血管撮影装置を更新しました。血管撮影像はもちろん、血管造影撮影下CT画像も鮮明となり、同時にnavigation mapを作成することにより血管撮影像では同定が困難であった栄養血管が同定できるようになり、より精度の高いTACEが可能になりました。超音波造影剤(ソナゾイド)による造影超音波検査や仮想超音波装置を用いることでより安全かつ正確にRFAが実施できます。マイクロ波焼灼装置では焼灼径が40mm程度でほぼ球形の焼灼範囲が得られますので、ラジオ波治療では複数回の穿刺焼灼が必要であった大きめの病変にも1回の穿刺で治療が行えます。TACEとRFAの入院期間は当院の入院パスではそれぞれ7日間と5日間ですが、病勢、肝予備能と患者背景、また治療後の回復程度に応じて短縮・延長しています。TACEとRFAで根治できるサイズと個数の肝癌であれば、以前は同一入院中に両治療を行っていましたが、現在は別々の入院で治療行うことで患者さんへの負担が軽減できています。また肝生検と腫瘍生検の入院パスは一泊二日です。
 C型肝炎は内服薬だけで完治する時代となり、非代償期肝硬変(一部制限あり)まで駆除治療の対象となっています。肝炎助成制度を利用することが可能です。肝線維化が進んだ症例においてはウイルス駆除後にも発癌する例も存在しますので、画像検査と腫瘍マーカーでのフォローが必要です。B型肝炎に対しては、核酸アナログ製剤とペグインターフェロン療法(PEG-IFN)治療を行っています。核酸アナログで肝機能が正常化し、HBV-DNAが陰性化しても肝細胞癌が出現することも明らかとなってきており、B型肝炎の治療の最終目標はHBs抗原の消失です。HBs抗原を陰性化できる薬剤が登場するまでは、現在使える核酸アナログとPEG-IFNで治療を行うことになります。またB型肝炎再活性化については、院内で行ってきた注意喚起が浸透し当院ではHBVが再活性化することなく化学療法や免疫抑制剤治療を遂行できています。HBs抗原が陽性の場合B型肝炎を発症する可能性がありますが、HBs抗原が陰性の場合でも、HBs抗体・HBc抗体のいずれかが陽性の場合は、HBs抗原陽性例と同様にB型肝炎を発症する可能性がありますので、定期的に肝機能とHBV-DNAのチェックが必要となります。顔面神経麻痺や突発性難聴などステロイド治療が必要な疾患においてもステロイド投与期間が2週間を超える場合は同様の扱いが望ましいとされています。
 お酒を飲まない人の脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が問題となっています。2024年からは、NASHという名称からMASH(代謝機能障害関連脂肪性肝炎)に変更となりました。脂肪性肝疾患の分類も刷新しています。当院においても新規の肝細胞癌の約半数が脂肪肝炎を疑う肝疾患からであり、これまで以上に線維化のある脂肪性肝疾患のフォローが重要と考えています。血液検査では線維化のマーカー、ファイブロスキャンでは肝硬度と肝脂肪量を測定し、非侵襲的に線維化のある脂肪肝であるかどうかの鑑別ができますので、Fib4index高値の脂肪肝の患者さんがおられましたら是非ご紹介いただければ幸いです。また、MRIで肝脂肪量を評価するMRI-PDFFも行っています。10日間の入院で脂肪肝についての学習・生活指導を行う脂肪肝パスを用いた入院も実施しています。一方、アルコール性肝疾患はCOVID-19流行で自宅飲酒する方が増加したためか増加しています。重度のアルコール依存症の場合は、対症療法と経過観察のみでは肝硬変から更に進んだ黄疸や腹水を有する肝不全に至ります。肝不全になってからの治療介入では予後は不良です。断酒・減酒を達成できていないと当院で実施する治療とフォローで患者さんの生命予後を延ばすという目標は達成できません。当院に紹介いただく前には、まず日常生活の指導やアルコール依存症の治療が可能な施設へ紹介し、断酒もしくは減酒治療を行っていただきたいと考えています。
 平成20年度より香川県の肝疾患診療連携拠点病院に指定されており、肝疾患の診断や治療に関する情報を地域の専門医療機関と共に協議していく場を設け、かかりつけ医や地域住民を対象とした研修会や講演会の開催を行っております。2011年度より肝炎相談支援センターを開設し、肝疾患に関する知識の普及や相談業務とともに、出張肝臓病教室、出張無料肝炎検診も行っております。

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実績

 肝細胞癌に対する治療ですが、新規発生数が減少したことと治療の選択肢が広がってきたことで肝動脈化学塞栓術と経皮的ラジオ波焼灼術治療件数は減少していますが、2024年の実績数は肝動脈化学塞栓術113例、経皮的ラジオ波焼灼術の症例数は年間19例でした。県下ではトップクラスの症例数となる治療を行っており、拠点病院としての役割を果たしています。

診療予定表

午前

月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日

琢磨 慧

髙口 浩一

髙口 浩一

永野 拓也

筒井 朱美

午後

月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日

琢磨 慧

永野 拓也

永野 拓也

筒井 朱美

※医師が学会等出張の場合、休診となることがあります。

○受付時間は午前8時15分~午前11時
(再来受付機 予約診療:午前8時15分~午後4時
       予約外診療:午前8時15分~午前11時)

スタッフ紹介

たかぐち こういち

髙口 浩一

髙口浩一

職種 役職

医師 院長

出身校 卒年

岡山大学 昭和61年

専門

肝臓・消化器

資格

  • 日本内科学会 総合内科専門医・指導医
  • 日本消化器病学会 専門医・指導医
  • 日本肝臓学会 専門医・指導医
  • 日本超音波学会 専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
  • 日本医師会 認定産業医
  • 日本病院総合診療医学会 認定医

ながの たくや

永野 拓也

永野拓也

職種 役職

医師 部長(診療科長)

出身校 卒年

島根医科大学 昭和63年

専門

肝臓
消化器

資格

  • 日本内科学会 総合内科専門医・指導医
  • 日本消化器病学会 専門医・指導医
  • 日本肝臓学会 専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会 専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 日本医師会 認定産業医

つつい あけみ

筒井 朱美

筒井朱美

職種 役職

医師 部長

出身校 卒年

徳島大学 平成2年

専門

肝臓
消化器

資格

  • 日本内科学会 認定内科医
  • 日本消化器病学会 専門医・指導医
  • 日本肝臓学会 専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

たくま けい

琢磨 慧

琢磨慧

職種 役職

医師 医長

出身校 卒年

香川大学 平成25年

専門

肝臓 消化器

資格

  • 日本内科学会 内科 認定医
  • 日本消化器学会 専門医
  • 日本肝臓学会 専門医