初めまして。香川県立中央病院 初期研修医2年の佐藤聖です。当院では令和3年度よりドクターヘリが導入され、香川大学医学部附属病院とともに県内の基地病院としての役割を担っています。当院ならではの特徴的な研修の一つとして、救急科をローテートする2年目研修医は、OJT枠(On the Job Training枠)としてフライトドクターやフライトナースとともにドクターヘリに同乗し、現場での診療に同行する機会をいただけます。私も今回9月にその機会をいただき、大変貴重な経験をさせていただきましたので、この場をお借りしてご紹介いたします。

「ドクターヘリ、エンジンスタート」の連絡が入ると、直ちに屋上ヘリポートへ移動し、出動の準備を整えます。離陸後は現場到着までの限られた時間の中で、現場から入る情報をフライトドクター、フライトナース、OJTで共有し、必要な対応や役割分担を確認します。実際の現場では、病院のように十分な検査や資機材が整っているわけではなく、限られた空間と時間の中で、何を優先して行うべきかを素早く判断しなければなりません。上級医の先生方やフライトナースの方々が、緊迫した状況でも落ち着いて対応し、的確に診療を進めていく姿が非常に印象的でした。私自身も情報収集や処置の補助を通して現場の一員として関わる中で、普段ERで学んでいることを病院前診療でどう生かすかを考える貴重な機会となりました。
同乗前は、ドクターヘリの価値は「医療者が早く現場に到着できること」にあると漠然と考えていました。しかし実際に研修を経験して感じたのは、単に早く到着することだけではなく、病院外という限られた環境の中で、得られた情報から優先順位を決め、その場で治療と搬送方針を組み立てていくことこそが、ドクターヘリ診療の本質であるということでした。病院では検査を追加しながら診療を進めることができますが、現場ではすべてが「今ある情報」から始まります。十分に状況が見えていない段階でも、患者さんの重症度を見極め、どこまで介入し、どの医療機関へつなぐかを判断しなければなりません。今回の研修を通して、自分が普段いかに検査や環境に支えられて診療しているかを痛感すると同時に、診察、バイタル、病歴といった基本的な情報が、極めて重要な意味を持つことを改めて学びました。
ドクターヘリ研修を通して、救急隊の方々を含めた多職種連携の重要性、そして病院前から始まっている救命医療の重みを強く実感しました。普段の診療では得られない緊張感と学びがあり、自分にとって非常に印象深い経験となりました。私は今後整形外科を専攻し、外傷患者さんをはじめ救急診療と関わる機会も多くなると思いますが、今回得た学びを今後の診療に少しでも生かしていきたいと考えています。救急や急性期医療に興味のある方には、ぜひ一度この研修を体験していただきたいと思います。経験豊富なフライトドクターやフライトナースの方が優しく指導してくださいます。
文責:香川県立中央病院 初期研修医2年 佐藤聖



