診療科・部門紹介

診療内容

尿路悪性腫瘍

泌尿器科で扱う主な悪性腫瘍として腎癌(腎細胞癌)、上部尿路癌(腎盂癌、尿管癌)、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍(癌)、陰茎癌が挙げられます。 それぞれの癌に対して標準的な治療法として、手術のみならず放射線治療や薬物治療を提示し、それぞれの患者様に最適な治療法を提供します。 また、それらの治療を組み合わせた「集学的治療」を主治医として各専門医と連携し、治療していきます。

複数の治療を受けることができる、あるいは治療方針の決定が難しい患者さんについては他の医療機関へセカンドオピニオン (第三者の客観的な意見を求めるための受診)をご紹介することも可能です。担当医にお気軽にお申し付けください。 逆に他の医療機関からのセカンドオピニオン外来(事前予約制)も行っております。

腎癌(腎細胞癌)

腎癌とは、腎臓から発生した悪性腫瘍であり、初期には症状がないことがほとんどです。 近年、画像診断の進歩により比較的早期に発見されることが多いのが特徴です。治療としては、腫瘍のサイズ、広がり、転移の有無により異なります。 転移がないものに対しては、手術が第一選択です。手術は、腹腔鏡を用いることにより体に大きな傷を開けることなく腫瘍を含む腎臓を摘除する腹腔鏡下腎摘除術、 さらには腫瘍部分のみ切除する部分切除術が選択されます。しかし、転移を有するものや癌の広がりが大きいものでは、 開腹手術が選択させることもあります。2016年より7cm以下の腎癌に対してロボット手術を用いた腎部分切除術が保険適応となり、当院でも積極的に行なっています。

転移を有する腎癌に対しては、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬による全身治療が中心となります。 従来の抗がん剤に比べ副作用が軽微であり、外来で治療することが可能です。患者様の全身状態、転移のサイズ、個数により手術により癌を摘除しうることもあります。

膀胱癌

膀胱とは腎臓で生成された尿が尿管を流れ一時的に体内に貯めておく場所です。そこにできる癌を膀胱癌といいます。 膀胱癌の治療は、その進達度(癌の浸潤の深さ)、悪性度、転移の有無により異なります。 それらを評価するために手術前に膀胱鏡、尿細胞診、CT、MRIを行います。さらに、病理学的に悪性度、進達度を評価するために、 まず尿道から膀胱鏡を用いて癌を切除(経尿道的膀胱腫瘍切除術)し、検査します。転移がなく、悪性度、進達度の低いものに対しては追加治療なしで経過を見ますが、 再発のリスクの高い患者様には予防治療として膀胱内に抗がん剤やBCG(ウシ型弱毒結核菌)を膀胱内に注入します。

転移がなく悪性度の高いもの、進達度の高いものに対しては手術により膀胱を摘除することが最も有効な治療とされています。 ただし、膀胱を摘除することで体内に尿を貯める場所がなくなるのでそれを代用する必要があります。 体外にパウチをはりそこに尿をためる回腸導管、自然排尿型の代用膀胱などを同時に造設します。

また、転移を有するものに対しては抗がん剤による全身治療が必要となります。当院では外来抗がん剤治療を積極的に行なっております。

上部尿路癌(腎盂癌、尿管癌)

腎盂、尿管は腎臓で生成された尿が膀胱まで流れる通り道であり、そこに発生した癌を上部尿路癌といいます。 膀胱癌と同様に悪性度の低いもの、小さいものは内視鏡(尿管鏡)を用いて診断、治療します。 ただし、膀胱癌と比べて診断時に進行しているものが多く、手術により腎臓から尿管、膀胱の一部まで切除する腎尿管全摘膀胱部分切除術が一般的に行われます。 その際、患者様の負担を軽減すべく可能な限り腹腔鏡を用いて行います。

当院の特徴として、悪性度の低い尿管癌に対して、細径尿管鏡、レーザーを用いた内視鏡治療が可能です。 また、他の癌と同様に転移を有するものに対しては抗がん剤による全身治療が必要となります。

前立腺癌

前立腺は、性液の一部を産生する臓器であり、男性の膀胱の下で尿道を取りまくように位置します。 正常では栗の実大ですが、年齢とともに増大し(前立腺肥大症)、排尿障害をきたすことがあります。 そこにできる癌を前立腺癌といいます。近年、腫瘍マーカーとしてのPSA(前立腺特異抗原)検査の普及により前立腺癌は増加傾向です。

診断としては、PSA、直腸診、MRIにより評価したのち、前立腺針生検により、癌の有無、その悪性度を調べます。癌と診断されれば、CTや骨シンチにより転移の有無を評価します。

治療は、転移の有無、悪性度、がんの広がり、PSA値により異なります。 国際的なリスク分類により複数の治療選択肢が挙げられます(NCCNガイドライン)。 がんの中には進行が非常に緩やかで治療をせずに経過観察する選択肢もあるため、患者様は治療の選択に非常に悩まれます。

転移がないものに対しては、(1)手術、(2)放射線治療±ホルモン治療、(3)無治療経過観察の3つの選択肢が挙げられます。 10年以上の生存が期待でき癌が中リスク以上のものに対しては手術、放射線治療を、低リスクに対してはいずれの治療も選択可能です。 それぞれの治療の効果と合併症や副作用のリスクを十分に理解した上で、自分にあった治療法を選択する必要があります。 当院の特徴として、手術に関しては全例、ロボット手術を用いて行います。2018年8月より米国にてクリニカルフェローとして3年間の手術修練を積み、 これまで400例以上のロボット手術を執刀した谷本医師が加わり、より安全で確実な手術を心がけています。 放射線治療としては、IMRT(強度変調放射線治療)により腫瘍に放射線を集中し副作用を増加させることなくより強い放射線を腫瘍に当てることが可能です。

転移のある症例に対しては、まずホルモン治療が中心となります。 両側の精巣(金タマ)を摘除する外科的去勢術、または3または6ヶ月毎の注射による内科的去勢術により治療します。 ホルモン治療に抵抗性を示したものに対して新規ホルモン薬の内服や抗がん剤治療に移行することがあります。

尿路結石症

尿路結石症には腎、尿管、膀胱結石があります。結石の部位や大きさに応じて外科的手術や内科的治療を行っています。

外科的手術は主に体外衝撃波結石破砕術(ESWL;腎、尿管、膀胱結石)、経皮的結石破砕術(PNL;腎結石)、 経尿道的結石砕石術(TUL;腎、尿管、膀胱結石)を行い、時には複数の手術を組み合わせて治療にあたります。 また、場合によっては開腹手術(腎・腎盂・尿管・膀胱切石術)を行うこともあります。

内科的治療は、自然排石を待つ待機療法のほか、結石の成分や病態によって内服薬や生活指導を行っています。

通常、尿路結石で生命にかかわることはありませんが、特殊な病態(感染の合併、単腎など)においては緊急救済処置を行うことがあります。 緊急救済処置としては、鬱滞した尿の流れを改善する尿道カテーテルや尿管ステント、経皮的腎瘻造設などがあります。

尿路性器感染症

あらゆる感染症のなかで最も多いといわれているのが尿路感染症です。

女性に多く基礎疾患がない単純性尿路感染症、尿路に何らかの疾患を合併する複雑性尿路感染症、性活動期の世代におこる性感染症、 その他特殊な感染症として尿路結核などがあります。

尿路・精路は「管腔(かんくう)構造」といって、管状の臓器で構成されています。興味深いことに、 管状の部位に細菌感染を来しても発熱を来しません(膀胱炎)。尿路性器感染症で発熱を来すのは、 女性では腎盂腎炎、男性では腎盂腎炎、前立腺炎、精巣上体炎で、これらは「実質臓器(肉のかたまり)」と呼ばれる臓器の炎症です。

性感染症は主に淋菌、クラミジア感染症が有名です。女性は自覚症状がほとんどなく不妊症や骨盤内凍結症候群を起こすことがあります。 男性は症状がある場合が多いですが、不十分な治療で感染を繰り返すことがあり、その間に他人に伝播させてしまうことがあります。 オーラルセックスや性の多様化、定着しないコンドームの装着、ピルの普及、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染症と子宮頚癌、HIVの蔓延など、問題が山積する領域です。

これら多くの感染症に対しても内科的・外科的なアプローチで治療に当たっています。

排尿障害

「排尿障害」は「おしっこを出しにくい状態」で、男性にも女性にも起こります。

男性は主に加齢に伴う前立腺肥大症・膀胱機能低下が原因です。女性も加齢に伴って膀胱機能が低下することがあります。 男性は前立腺の切除(経尿道的前立腺切除術;TURP)・核出(経尿道的前立腺レーザー核出術;HoLEP)や内服治療を行います。 女性は主に内服治療を行いますが、後述する「女性骨盤内臓器」の異常によって排尿障害をきたしていることがあります。その場合には手術療法を考慮します。

骨盤機能

「女性骨盤内臓器」の領域で問題になるのは、女性の内性器(膣・子宮・卵巣など)とその前後にある膀胱と直腸、 さらに骨盤内臓器を支えている骨盤底筋群です。骨盤底筋群は出産歴や加齢にともなって緩む場合があり、 尿失禁や膣からの骨盤内臓器脱(膀胱脱、子宮脱、直腸脱)が起きることがあります。 自覚症状としては尿失禁(主にせきやくしゃみのもれ)、排尿障害、下腹部や陰部の不快感、膣になにか出ている、 といったことが挙げられます。高度の場合には手術を行いますが(尿失禁手術、臓器脱根治術)、軽度の場合には骨盤底筋体操の指導等を行います。 患者さんごとに状態と重症度を評価し、適切な治療をご紹介させて頂きます。

2010年、外科、婦人科、泌尿器科で協力して「女性骨盤機能外来」を立ち上げました。泌尿器科を直接受診されてもかまいませんし、 ご希望の方は泌尿器科外来までお問い合わせください。

男性機能障害

男性機能は大きく分けて男性更年期障害、勃起障害(ED)、射精障害、不妊症に分けることができ、それぞれがオーバーラップしていることが多い領域です。

男性更年期障害はPADAMやLOH症候群ともよばれ、男性ホルモンが低下していることで診断されます。 比較的近年認知されつつある疾患で、うつ病と間違われることもあります。治療として注射薬による補充療法で改善することがあります。

EDは糖尿病や骨盤内手術、男性更年期障害などで起こり、心因性の場合(気持ちの問題、トラウマなど)があります。 治療はもとの病気の治療や薬物療法(シアリス、バイアグラなど)があり、男性ホルモンの補充が有効な場合もあります。

射精障害はSEXやオーガズムを得ることは可能でも精液が出てこないことを言います。糖尿病や薬物によることがあり、治療が必要です。

不妊症については、病態に応じて薬物療法や精巣生検、時には精巣内の精子を採取することもあります。

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