最終更新日:2022/03/15
腎がん
ロボット支援下腎部分切除術
Robot – Assisted Laparoscopic Partial Nephrectomy

腎がんとは?

腎臓は、血液中の老廃物を尿として体外に排泄するための臓器です。そこにできたがんを腎がんと言います。近年、画像診断の進歩により比較的早期に発見されることが多いのが特徴です。
治療としては、腫瘍のサイズ、広がり、転移の有無により異なります。 転移がないものに対しては、手術が第一選択です。手術はがんを有する側の腎臓全てを取り除く全摘除術とがんの部分だけを取り除く部分切除術に大別できます。
術後の腎臓の機能をできるだけ温存するためにも、小径のがんでは積極的に部分切除術を行ってきました。さらに2016年より7cm以下の腎がんに対してロボット手術を用いた腎部分切除術が保険適応となり、当院でも積極的に行なっています。

ロボット支援下腎部分摘除術の方法

全身麻酔で手術をします。

お腹をガスで膨らませ、腹腔鏡(カメラ)で観察しながら腎臓周囲を剥離します。

腎動脈の血流を一時的に遮断し、腫瘍を切除します。(下図点線のライン)

腫瘍切除面を縫い合わせて腎動脈の血流を再開します。

ロボット支援下腎部分摘除術の方法

ロボット支援下腎部分切除術のメリット

  1. 腹腔内をガスで膨らませて手術することにより、術中の出血を最小限に抑えることが可能。
  2. 拡大視野、手ブレ防止機能により、より正確な操作が可能。
  3. 腎臓の血流を一時的に遮断する時間(温阻血時間)の短縮。
  4. 切除断面の確実な止血が可能。
  5. 手術中の超音波診断により正常部とがんの境界を把握することが可能。
  6. 正常部とがんの間のより正確な剥離・切断が可能。

当院泌尿器科でのロボット手術のメリット

当院泌尿器科でのロボット手術のメリット
  1. 米国で外科医として3年間の手術修練を積みこれまで400例以上のロボット手術を執刀した熟練した医師を有する。
  2. 複数のコンソールサージョンを有する。
  3. 当院では、これまでに20例以上の症例を経験。

ダヴィンチ手術(泌尿器科) 入院費概算

腹腔鏡下腎悪性腫瘍術(内視鏡手術支援機器を用いるもの)

入院期間:約10日
健康保険使用時医療費概算(3割負担の場合):約40万円

70歳未満の場合
限度額適用認定証申請 月をまたがない場合

区分(ア) 約26万円
区分(イ) 約17.5万円
区分(ウ) 約9万円
区分(エ) 5万7600円(上限額)
区分(オ) 3万5400円(上限額)

70歳以上の場合
限度額適用・標準負担額減額認定証申請 月をまたがない場合

現役並み所得者 (Ⅲ) 約26万円
現役並み所得者 (Ⅱ) 約17.5万円
現役並み所得者 (Ⅰ) 約9万円
一般所得者 5万7600円(上限額)
住民税 非課税世帯(Ⅱ) 2万4600円(上限額)
住民税 非課税世帯(Ⅰ) 1万5000円(上限額)

※医療費のみの金額です。食事代、個室代等の自費分は含まれていません。

ロボット支援下腎部分切除術の適応が可能な方

  • 7cm以下の腎がんを有する患者
  • 全身麻酔の手術に耐えられる全身状態の方

ロボット支援下腎部分切除術のQ&A

入院期間はどのくらいですか?

術後問題がなければ約10日間です。


どのような合併症がありますか?

これまで、当院では重篤な合併症はありません。腎部分切除術に特徴的な合併症として、正常な腎臓を残しますので、腫瘍切除断面から出血したり、尿が漏れ出ることがあります。また、腎臓を全部切除した場合と同様に、腎臓周囲の臓器を損傷してしまうことや肺炎、腸閉塞といった合併症を起こすことがあります。


手術費用はいくらかかりますか?

すでに保険適応になっています。医療費の目安を参考にしてください。


手術の後、どのくらいで仕事に復帰できますか?

仕事の内容にもよりますが、退院後1〜2週間は自宅で経過をみて、問題なければ仕事に復帰できます。


がんの再発が心配です。

一般的に小径腎がんに対する腎部分切除術の再発率は、腎臓を全部切除する手術と同等であると言われています。小径腎がんの5年非再発生存率は約95%以上と言われています。