最終更新日:2022/03/15
胃がん
ロボット支援下胃切除術について
Robot – Assisted Laparoscopic Gastrectomy

香川県立中央病院は、2018年7月より胃がん手術(幽門側胃切除・胃全摘・噴門側胃切除)すべての術式で厚生労働省の定める施設基準を満たし、保険適用内での治療が可能となりました。

手術を担当する医師について

当院では、「胃がんに対するロボット支援下胃切除術」について、以下を満たす医師が手術を行うこととしております。

  1. 消化器外科専門医であること。
  2. 日本内視鏡外科学会が定める胃がん手術で取得した内視鏡手術技術認定医であること。
  3. da Vinci Surgical System製造会(ロボット製造元)の定めるトレーニングコースを受講し、Certification(認定)を受けたもの。
消化器・一般外科 部長 田中則光
消化器・一般外科 部長
田中則光
消化器・一般外科 医長 橋田真輔
消化器・一般外科 医長
橋田真輔

胃がんに対するロボット支援手術の特徴

  1. 3D画像で見えるハイビジョンカメラ
  2. お腹の中で自由自在に操作が可能な多関節鉗子
  3. 手ブレ補正機能

胃がん手術の特徴的な合併症として膵液漏があります。術中に膵臓を愛護的に扱うことが予防策となります。腹腔鏡手術は、リンパ節を取る際に膵臓を抑えながら取らなければなりませんが、ロボット支援手術は、膵臓を触れることなくリンパ節を取ることが可能であり、より愛護的に手術が可能となり、膵液漏の合併症を軽減できると報告されています。

胃がんに対するロボット支援手術の特徴

ロボット支援胃全摘除術のQ&A

傷口は、どうなるのですか?

胃がんの傷口は、下図のごとく、開腹手術がみぞおちからおへそまでの傷口であり、腹腔鏡とロボット手術はおへそを含めた5-6個の5mm前後の傷口となります。ロボット手術は、開腹手術と比較すれば術後の創部痛も少なく回復も早い傾向にありますが、腹腔鏡手術と比較すれば、ほぼ同じ傷口となります。

開腹手術の傷口イメージ
腹腔鏡手術の傷口イメージ
ロボット手術の傷口イメージ

腹腔鏡手術とロボット手術の違いは何ですか?

腹腔鏡手術とロボット手術の傷口はほぼ同じです。しかし、腹腔鏡手術の鉗子(操作する手術器具)は、曲がることができず直線的な動きしかできない「可動域制限」があることと、人間の手の動きが直接伝わることで手ブレが生じることが最大の弱点となります。ロボット手術の鉗子は、多数の関節を持ち体の奥深くでも人間の手のごとく複雑な動きができ、手ブレ補正機能を備えているため緻密な動きが可能となります。

複雑な動きのイメージ図

人間の手の動きと同じ動きが可能


入院期間はどれくらいですか?

手術を行った日から7-10日目前後で退院できます。


合併症はどんなことがありますか?

ロボット手術特有の合併症はありません。胃がんに特徴的な合併症である膵液漏は、ロボット手術により少なくなると報告されています。


費用はどれくらいかかるのでしょうか?

2018年7月より、当院では保険適応で行うことが可能となりました。