最終更新日:2022/03/15
膀胱がん
ロボット支援下膀胱全摘除術
Robot – Assisted Laparoscopic Cystectomy

膀胱がんとは?

腎臓で作られた尿が尿管を通り、膀胱にたまります。膀胱は骨盤内に位置し、男性では直腸、女性では子宮のおなか側に位置します。その膀胱の粘膜から発生する悪性腫瘍が膀胱癌です。 痛みのない無症候性の血尿で見つかることがあります。
診断としては、検尿、腹部超音波、膀胱鏡検査により評価したのち、経尿道的膀胱腫瘍切除術(尿道からカメラを挿入し、腫瘍を削り取る治療)により、癌の有無、その悪性度、進達度を調べます。癌と診断されれば、CTや骨シンチにより転移の有無を評価します。
治療は、転移の有無、悪性度、がんの広がりにより異なります。粘膜の表層の癌では経尿道的膀胱腫瘍切除術で切除します。場合によってはBCG膀胱内注入療法で再発予防をします。筋層まで進展している場合、転移がないものに対しては、手術または抗がん剤治療と手術の併用が挙げられます。転移があるものは、抗がん剤治療または緩和治療の対象となります。

ロボット支援下膀胱全摘除術の方法

  1. 全身麻酔で手術をします。
  2. お腹をガスで膨らませ、腹腔鏡(カメラ)で観察しながら膀胱臓周囲を剥離します。
  3. 前立腺と膀胱(必要であれば尿道)を切除します。
  4. 膀胱を摘出した後、いずれかの方法で尿の通り道を再建します。
ロボット支援下膀胱全摘除術の解説図

ロボット支援下膀胱全摘術のメリット

ロボット支援下膀胱全摘術のメリット
  1. 腹腔内をガスで膨らませて手術することにより、手術中の出血を最小限に抑えることが可能。
  2. 拡大視野、手ブレ防止機能により、より正確な操作が可能。
  3. 勃起神経温存(術後の勃起機能を可能な限り温存できる)。
  4. 術後尿失禁の早期回復。
  5. 拡大リンパ節郭清(膀胱周囲のリンパ節を広く摘除することにより再発を減らす)。

当院泌尿器科でのロボット手術のメリット

当院泌尿器科でのロボット手術のメリット
  1. 米国で外科医として3年間の手術修練を積みこれまで400例以上のロボット手術を執刀した熟練した医師を有する。
  2. 複数のコンソールサージョンを有する。
  3. 当院では、これまでに20例以上の症例を経験。

ダヴィンチ手術(泌尿器科) 入院費概算

腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍術(内視鏡手術支援機器を用いるもの)

入院期間:約11日
健康保険使用時医療費概算(3割負担の場合):約45万円

70歳未満の場合
限度額適用認定証申請 月をまたがない場合

区分(ア) 約26.7万円
区分(イ) 約18.4万円
区分(ウ) 約9.9万円
区分(エ) 5万7600円(上限額)
区分(オ) 3万5400円(上限額)

70歳以上の場合
限度額適用・標準負担額減額認定証申請 月をまたがない場合

現役並み所得者 (Ⅲ) 約26.7万円
現役並み所得者 (Ⅱ) 約18.4万円
現役並み所得者 (Ⅰ) 約9.9万円
一般所得者 5万7600円(上限額)
住民税 非課税世帯(Ⅱ) 2万4600円(上限額)
住民税 非課税世帯(Ⅰ) 1万5000円(上限額)

※医療費のみの金額です。食事代、個室代等の自費分は含まれていません。

ロボット支援下膀胱全摘術の適応が可能な方

  • 転移のない膀胱癌を有する患者
  • 全身麻酔による手術に耐えられる全身状態の方

ロボット支援下膀胱全摘切除術のQ&A

入院期間はどのくらいですか?

術後問題がなければ約20日間です。


どのような合併症がありますか?

開腹手術と同様な合併症(術後肺炎、尿路感染、イレウス等)が挙げられます。


手術費用はいくらかかりますか?

すでに保険適応になっています。医療費の目安を参考にしてください。


手術の後、どのくらいで仕事に復帰できますか?

仕事の内容にもよりますが、退院後1〜2週間は自宅で経過をみて、問題なければ仕事に復帰できます。


がんの再発が心配です。

2012-2013年の全国の癌登録の集計では5年生存率は筋層非浸潤癌で86〜97%、筋層浸潤癌で43〜59%です。膀胱癌を完全に手術で取りきった場合の5年生存率は80%です。術後、再発のリスクが高い場合、抗がん剤治療を追加することがあります。