最終更新日:2023/02/15

高精度放射線治療 ノバリスTx

2014年6月、「ノバリスTx」を用いた放射線治療が開始されました。
病巣にピンポイントで照射でき、高い治療成績と体に負担の少ない治療が期待されます。
今日のがん診療において放射線治療の充実は患者さんにとって治療の選択肢を拡げる上で必要不可欠となっています。

当院の放射線治療

放射線治療は外科療法、薬物療法(抗がん剤治療)とならび、がん治療の三本柱の1つです。
病院移転に伴い新装置が導入され、脳・頸部・肺・肝臓への「定位照射=ピンポイント照射」や強度変調放射線治療(IMRT/VMAT)、子宮癌に対する「画像誘導小線源治療」といった高度な治療を行っています。いずれも治療成績の向上や副作用の低減が期待される放射線治療です。
これらの高度な治療を県民の皆様に安全に提供できるようスタッフ一丸となって取り組んでいます。

高精度治療装置

写真:ノバリスTx

ノバリスTx

世界でも最も細かいレベルで、病巣の形に合わせたムダの少ない治療が可能です。
また1分間に多くの量の放射線を照射できるため、短時間で苦痛の少ない治療が可能です。呼吸で動く病巣を治療する場合、病巣の位置を正確に把握して放射線を当てることができます。

写真:エレクタシナジー

エレクタシナジー

ノバリスよりも広い範囲の治療ができます。
体の中の様々な深さにある病変に対応可能な装置です。
寝台が自動で動き、治療する位置を正確に合わせることが可能です。

写真:マルチソース

マルチソース

小線源治療や腔内照射と呼ばれる治療を行なう装置です。当院では主に子宮がんの治療に使用しています。

定位照射・ピンポイント照射

脳定位照射

頭をしっかりと固定するマスクを患者さん毎に作成します。
マスクでの固定になりますので患者さんの負担は低減しています。ミリ単位の正確さで治療可能で、1週間程度の治療期間で照射終了します。病巣1個あたりの照射時間は短くなってきています。10個以下程度であれば状態にもよりますが1日分の照射は20~30分程度で可能です。

体幹部定位照射

肺がんや肝臓がんなどに対して、従来の放射線照射よりも多方向から病巣へ放射線を照射します。正常組織への負担が減り、病巣に集中した治療を行えます。肺がんや肝臓がんでは呼吸による臓器や腫瘍の動きが問題になりますが、呼吸による病巣の移動を正確に把握し、あらかじめ指定した位置に病巣が移動したときにのみ照射を行なうことが可能です。正常組織に照射される線量を低く抑えることが可能です。

強度変調放射線治療(IMRT/VMAT)

強度変調放射線治療(IMRT)は、コンピュータの助けを借りて、腫瘍・ターゲットの形状に合わせて放射線を照射できる革新的な照射技術です。腫瘍・ターゲットに線量を集中し、正常組織の線量を少なくすることができます。
現在では、IMRTの応用型で回転しながら強度変調放射線照射を行う強度変調回転照射法(VMAT)にて行っています。周囲正常組織への影響をより抑え、治療時間の大幅な短縮が可能となりました。
遠隔転移のないがんに対して行っており、適応は個々に判断いたしております。

画像誘導小線源治療

子宮頸癌に対する放射線治療では小線源治療の有効性が広く認められています。
治療の際にCTを撮影することで、腫瘍や正常組織の正確な位置や範囲を把握した上で精密な治療ができるようになりました。国内で最近行なわれるようになった「画像誘導小線源治療」と呼ばれるこの技術を用い、治療成績の向上と副作用の低減を図っています。
また従来使用されてきた子宮内と膣内に挿入する小線源治療の器具では腫瘍が大きかった場合や、手術後の再発で器具が挿入できない場合などに、放射線が腫瘍全体に照射できないことがありました。そのような場合に、腫瘍部分に細い針を直接刺して小線源治療を行なう「組織内照射」と呼ばれる治療法も当院では選択でき、より積極的に治癒を目指した治療が可能です。

画像誘導小線源治療 写真

放射線治療の流れ

放射線治療担当医による診察

治療説明

準備

  • 固定具作成
  • 放射線治療計画用CT(単純/造影)
  • 皮膚マーキング

看護師による治療のオリエンテーション(放射線治療や生活に関する注意事項の説明)

治療開始

  • 通常照射:
    準備(治療計画用CT撮影)~治療開始:2日~1週間程度
  • 脳定位照射:
    準備(治療計画用CT撮影)~治療開始:3日程度
  • 肺/肝定位照射:
    準備(治療計画用CT撮影)~治療開始:2週間程度

医療費について

放射線治療は健康保険が適応されます。
標準的な治療での医療費の例です。(医療費は照射方法と部位数、照射回数で変わります)

外来で実施する場合

治療の種類/部位 標準的な
照射回数
自己負担(3割)70歳未満の方 70歳以上の方の
自己負担限度額
定位放射線(脳・肺/肝) 3~12回 (月をまたがない場合)
約20万円
高額療養費現物給付制度を利用した場合、自己負担が軽減されます。制度の内容についてはこちらをご覧ください。 ・現役並所得者
 …高額療養費の限度額
・一般
 …18,000円
・低所得者II
 …8,000円
・低所得者I
 …8,000円
通常の
放射線治療
骨転移 10回 (月をまたがない場合)
約6万円
乳腺 25回 (例えば1ヶ月目に20回、
2ヶ月目に5回実施した場合)
1ヶ月目 約13万円
2ヶ月目 約3万円
前立腺 36回 (例えば1ヶ月目に20回、
2ヶ月目に16回実施した場合)
1ヶ月目 約16万円
2ヶ月目 約13万円

入院で実施する場合(放射線治療のみの入院の例です)

治療の種類/部位 標準的な
照射回数
自己負担(3割)70歳未満の方 70歳以上の方の
自己負担限度額
腔内照射
(子宮頸癌)
4回 (1ヶ月間の入院で月をまたがない場合)
約38万円
高額療養費現物給付制度を利用した場合、自己負担が軽減されます。制度の内容についてはこちらをご覧ください。 ・現役並所得者
 …高額療養費の限度額
・一般
 …57,600円
・低所得者II
 …24,600円
・低所得者I
 …15,000円
組織内照射
(子宮頸癌)
4回 (月をまたがない場合)約54万円

※上記費用に食事料、個室料等自費分は含まれていません。

よくあるご質問

定位照射(ピンポイント照射)はどの部位でも可能ですか?

保険適応として治療できるのは以下の条件のいずれかに該当する必要があります。

  • 頭部:
    頭頸部腫瘍(頭蓋内腫瘍を含む)及び脳動静脈奇形に対して行った場合
  • 体幹部:
    原発性肺癌(直径5cm以内かつ転移のないもの)
    転移性肺癌(直径5cm以内かつ3個以内でかつ他病巣のないもの)
    原発性肝癌(直径5cm以内かつ転移のないもの)
    転移性肝癌(直径5cm以内かつ3個以内でかつ他病巣のないもの)
    脊髄動静脈奇形(直径5cm以内)

※自由診療での治療は現在行なっておりません。


照射期間中日常生活の制限はありますか?

照射部位に炎症が起きますので治療部位毎に副作用の説明させていただきます。お仕事をされながら継続可能な治療から入院が必要となる治療まで様々となっております。


1日の治療に必要な時間はどれくらいかかりますか?

治療室に入ってから出るまでが通常照射で10-15分程度です。定位照射(ピンポイント照射)では長くても30分程度になります。照射中に熱さや、焼かれるような痛みを感じることはありません。


治療する装置を患者側で選ぶことはできますか?

定位照射(ピンポイント照射)ではノバリスTxを用います。通常照射では呼吸により動く臓器を治療する場合はノバリスTx、広い範囲を治療する場合や皮膚表面に近い病変に治療する場合にはシナジーといったそれぞれの装置の特性を生かした使い分けをさせていただいておりますのでご理解頂ければと思います。


お問い合わせ

患者さん

地域医療連携課
※ご相談内容によっては、お時間を頂く場合があります
TEL.087-811-3333(内線2204)

医療機関の方

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TEL.087-802-1144
FAX.087-802-1160