令和2年度 香川県立中央病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 473 164 230 437 827 1,106 2,020 3,197 1,883 348
当院は、高度急性期病院及び地域医療支援病院として、質の高い医療を幅広い年齢層の患者さんに提供しています。全体で見ると、60歳以上に占める割合が全体の約7割となっており、高齢者の入院が高くなっています。
年齢階級別に疾患構成を見てみますと、10歳以下では、新生児疾患や呼吸器系疾患が多く、10歳代では、外傷疾患が最も多く、次に消化器系疾患となっています。20歳代から30歳代を中心に、女性生殖器系疾患や産褥期疾患が増加傾向にあります。
また、40歳代では、女性生殖器系疾患も多く見られますが、加えて消化器系疾患も増加しています。50歳代では消化器系疾患や循環器系疾患が増加傾向にあり、60歳代以降に関しては、消化器系疾患・循環器系疾患・呼吸器系疾患が増加しています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
総合診療科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010080xx99x0x1 脳脊髄の感染を伴う炎症 - - 17.00 - -
180030xxxxxx0x その他の感染症(真菌を除く。) - - 10.76 - -
130150xx99x1xx 原発性免疫不全症候群 - - 4.10 - -
130030xx99x0xx 非ホジキンリンパ腫 - - 9.65 - -
100180xx990x0x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 - - 6.26 - -
総合診療科では、原因不明の発熱や炎症性疾患が多く集まり、その中には全身性自己免疫性疾患や血液疾患の患者さんが多く、診断のために入院する患者さんが多く見られます。また原発不明腫瘍の患者さんも入院され精査加療しています。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 169 5.41 2.66 0.00% 72.17
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 157 9.11 8.11 0.00% 73.63
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 106 7.69 9.53 3.77% 74.07
060090xx02xxxx 胃の良性腫瘍 66 7.11 6.77 0.00% 73.56
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 37 7.11 9.08 5.41% 64.59
消化器内科では、専門医が胃癌、大腸癌、食道癌の内視鏡手術を積極的に行っており、完全切除率も極めて高いです。多くの手術を行う必要性のため、週末入院月曜手術の必要性もあるため、胃癌の内視鏡手術の在院日数がやや長いことが今後の課題です。また、胆管の結石や感染症は重症化する場合も多く、広いエリアから緊急内視鏡処置を受け入れています。処置を速やかに行い、地域に継続加療をお願いするため、転院率が高くなっています。消化器癌に対する抗がん剤治療の専門医が、外科内科の癌患者さんに積極的に治療を行っています。重症の腸閉塞患者の緊急処置も積極的に受け入れ、改善後は、周辺医療機関と連携して在宅復帰を支援しています。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 56 9.36 9.42 1.79% 66.48
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 20 3.00 3.39 0.00% 67.35
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 19 21.47 18.61 10.53% 77.26
040040xx9903xx 肺の悪性腫瘍 13 35.92 27.90 7.69% 66.15
040040xx99041x 肺の悪性腫瘍 12 16.67 15.61 8.33% 70.92
呼吸器内科では、肺癌(肺の悪性腫瘍)の化学療法の患者さんが最も多くなっております。近年薬物療法の進歩により分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬による治療が増加しています。
当科では肺癌の化学療法を行う場合、原則初回治療は2週間の入院で効果・副作用を評価し、2回目からは外来通院センターで治療を行っています。
間質性肺炎の急性増悪による呼吸不全に対し、酸素療法・人工呼吸療法、ステロイド療法などを行っています。
肝臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 99 11.55 10.70 2.02% 75.03
060050xx031xxx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 37 15.19 14.45 0.00% 75.00
060300xx99x00x 肝硬変(胆汁性肝硬変を含む。) 28 9.71 11.63 10.71% 66.39
060050xx99000x 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 25 6.52 8.65 12.00% 73.48
060280xxxxxxxx アルコール性肝障害 17 11.18 13.95 5.88% 52.29
肝臓内科の入院患者さんで一番多い疾患は肝細胞癌です。肝細胞癌の多くは慢性の肝疾患に発生してきますので、肝臓の線維化が進んだ慢性肝炎や肝硬変では定期的にエコー/CT/MRIなどの画像検査を実施することが必要です。線維化の程度は、血小板数減少、M2BPGi/ヒアルロン酸/Fib4indexなどの血液検査、ファイブロスキャンで肝臓の脂肪含量や硬度を測定し総合的に判断しています。肝疾患の原因や進行度を詳細に把握するためには肝生検入院(1泊2日)を行っています。肝細胞癌に対する治療方針は肝癌のステージ、大きさと個数などの腫瘍の状態と肝予備能から最新の治療ガイドラインに沿って患者さんに適した治療を行っています。肝細胞癌は年率20%の再発があるため、初回治療時はもちろん再発治療時においても、外科切除、内科的局所治療、薬物治療のどれが最適であるかを検討し治療を選択することが重要です。当院では切除の適応はないが肝動脈化学塞栓術(TACE)の適応がある場合はTACEを行い、その後に焼灼療法の適応がある場合には焼灼治療を追加することが多いので肝細胞癌の治療としてTACEが最も多い手術法となっています。経皮的な焼灼療法としてはラジオ波焼灼術(RFA)、マイクロ波焼灼術、症例数は少ないですがエタノール局注療法も行っています。切除不能、TACE不応・不能・不適な肝細胞癌、RFAの適応外の場合は薬物治療(分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬)を行いますが、治療が奏効し切除、TACEやRFAなどの局所治療が可能になることもあります。門脈に肝癌が浸潤している場合には放射線治療を行うこともあります。肝硬変症の合併症としては肝性脳症と難治性の胸水と腹水があります。肝性脳症の治療においては、肝性脳症治療のためのクリニカルパスを作成して食事指導や生活指導や服薬管理を行い、また入院中および自宅での食事・排便・羽ばたき振戦の有無、服薬状況などを患者さんやご家族が簡便かつ的確に記載できる様な管理ノートをお渡しています。この取り組みで日常でわかりにくい体調の変化も早期に把握しやすくなり入退院の回数が減少してきました。難治性胸水・腹水に対しては穿刺排液した胸水と腹水を濾過と濃縮後に再静注する胸水・腹水濾過再静注法(CART)を実施しています。
腎臓・膠原病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 45 12.31 11.04 2.22% 52.87
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群 12 14.42 20.56 8.33% 71.67
110280xx9902xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 12 8.08 8.90 0.00% 66.08
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 11 12.55 14.01 0.00% 71.73
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 11 32.64 33.50 18.18% 71.36
腎臓膠原病内科では、蛋白尿/血尿の診断のための腎生検、腎炎/ネフローゼに対する免疫抑制療法を行っています。IgA腎症は10-20代に好発する慢性腎炎で早期に診断することで、治癒を目指した扁桃摘出術とステロイドパルス療法を組み合わせた治療を積極的に行っています。また高齢者に多い急速進行性腎炎や広く各年齢にみられるネフローゼ症候群に対して、ステロイドや免疫抑制剤、生物製剤を組み合わせた治療を行っており良好な成績を収めています。慢性腎不全の食事療法や生活指導、透析療法選択のための教育入院を行っており、保存期腎機能を保持するのみではなく、透析療法の速やかな導入も行います。腹膜透析では50名以上の患者さんの治療を行っており全国有数の施設となっています。関節リウマチを中心とする膠原病や類縁疾患の早期診断、生物製剤や分子標的治療薬を用いた先端的な治療を行っています。
糖尿病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 25 11.00 14.60 0.00% 65.56
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 17 8.18 11.26 0.00% 52.71
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 - - 13.33 - -
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 - - 13.00 - -
10008xxxxxx1xx その他の糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) - - 18.87 - -
糖尿病・内分泌内科において、2020年4月1日~2021年3月31日までのDPC上位5位の退院患者さんは、1型糖尿病4例、2型糖尿病42例でした。また重篤な代謝障害(高血糖高浸透圧症候群や糖尿病性ケトアシドーシス)は9例でした。なお腎臓又は尿路の感染症は4人中2名が糖尿病を合併していました。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x3xx 非ホジキンリンパ腫 59 10.17 16.62 0.00% 75.14
130030xx97x3xx 非ホジキンリンパ腫 48 19.25 30.79 0.00% 68.71
130010xx97x2xx 急性白血病 29 35.97 38.35 0.00% 58.66
130030xx99x4xx 非ホジキンリンパ腫 15 14.07 11.14 0.00% 68.80
130030xx99x5xx 非ホジキンリンパ腫 15 16.60 20.27 6.67% 73.67
血液内科において、急性白血病に対する抗がん剤を用いた化学療法は、治療に伴う血球の減少が強いために入院で行う必要があります。無菌室を利用した治療となり入院期間も長期間となります。悪性リンパ腫は高齢化に伴い増加している疾患です。当院でも患者数は増加傾向にあり、初回のリツキサン投与の際の薬剤アレルギーコントロール目的の入院が多い傾向にあります。その他に、悪性リンパ腫の再発や治療抵抗性に対する救済療法(サルベージ療法)の場合、治療の度に入院する必要があり、その回数が多くなります。副傷病がある場合や造血細胞移植や輸血等の手術がある場合は入院期間が長期化する傾向があります。
腫瘍内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060030xx99x30x 小腸の悪性腫瘍、腹膜の悪性腫瘍 - - 6.05 - -
06007xxx9907xx 膵臓、脾臓の腫瘍 - - 7.52 - -
03001xxx99x60x 頭頸部悪性腫瘍 - - 11.44 - -
100030xx99x1xx 内分泌腺及び関連組織の腫瘍 - - 14.51 - -
040010xx99x30x 縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍 - - 8.44 - -
腫瘍内科では、化学療法の必要な原発不明癌や稀少がんを対象にして入院治療を行って来ましたが、他診療科と並行して縦隔腫瘍や内分泌腫瘍の治療も行っています。
緩和ケア内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
06007xxx9900xx 膵臓、脾臓の腫瘍 - - 11.24 - -
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 - - 13.30 - -
060050xx99000x 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) - - 8.65 - -
03001xxx99x0xx 頭頸部悪性腫瘍 - - 12.17 - -
070040xx99x2xx 骨の悪性腫瘍(脊椎を除く。) - - 20.47 - -
がんと診断された患者さんで、つらい症状が出て自宅療養では十分苦痛の緩和ができない場合や、病状や療養環境により自宅で最期まで過ごすことが難しい患者さんについては、本人とご家族が希望されれれば、緩和ケア病棟に入院して頂き緩和ケア医が主治医となって、症状緩和治療を行うとともに、より良い終末期の療養生活を支援しています。急速に症状が悪化し痛みも強く出ることが多い膵臓癌など消化器系や、呼吸困難や骨転移などのつらい症状が出ることも多い呼吸器系の患者さんが多くなっていますが、血液系の悪性疾患や頭頚部癌の方など、種々のがん患者さんにそれぞれの状況に応じた診療・ケアを行っています。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 443 5.07 4.95 0.00% 66.51
050050xx9910xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 276 2.88 3.07 0.72% 69.99
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 234 5.44 4.44 2.14% 68.93
050210xx97000x 徐脈性不整脈 90 8.32 10.56 7.78% 78.80
050130xx9900xx 心不全 86 18.29 17.23 10.47% 79.81
循環器内科で1番目に多い症例は、心房細動等不整脈に対するカテーテル治療を目的とした入院です。2番目に多い症例は狭心症などに対する治療前・治療後の心臓カテーテル検査のための入院です。3番目に多い症例は狭心症に対しての冠動脈のカテーテル治療となります。4番目に多い症例は房室ブロックなど徐脈性不整脈に対するペースメーカー植え込み手術のための入院です。5番目に多い症例は、心不全に対して入院治療が必要な方で、年々増加傾向にあります。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010160xx99x00x パーキンソン病 21 16.19 18.20 19.05% 72.00
010160xx99x10x パーキンソン病 14 8.57 19.69 0.00% 69.86
010230xx99x00x てんかん 11 11.73 7.48 9.09% 66.09
010155xxxxx2xx 運動ニューロン疾患等 11 15.27 16.14 0.00% 62.91
010090xxxxx0xx 多発性硬化症 - - 14.72 - -
令和2年度に脳神経内科で入院治療を行った疾患で最も頻度が多かったのは、パーキンソン病です。パーキンソン病は主には外来で診断治療をしますが、パーキンソン病類似疾患との鑑別が難しい疾患なので、入院して精査する場合もあります。てんかん患者さんの外来診療を多く行っていますが、患者さんの増加に伴い発作を起こして入院治療が必要になるケースも増えてきています。神経難病の代表的疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)をはじめとする運動ニューロン疾患の患者さんも積極的に受け入れています。また、近年増加傾向にある多発性硬化症の診断・治療にも力を入れて取り組んでいます。
消化器・一般外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060020xx02xxxx 胃の悪性腫瘍 62 18.68 19.04 8.06% 71.13
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 60 15.22 16.19 8.33% 72.18
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 57 6.19 6.41 0.00% 59.40
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア 53 5.11 4.86 3.77% 72.00
060050xx02xxxx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 38 14.16 15.58 2.63% 73.08
消化器・一般外科では、消化器悪性腫瘍(がん等)の手術を多数行っており、数だけでなく手術技術においても高い評価を受けています。ロボット支援下手術、腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)など、最新の手術法も積極的に導入し、更に改良を加えながら、患者様にとって治療効果が高くかつ負担の少ない手術を心がけています。また、消化器内科、腫瘍内科、放射線科等の関連診療科と互いに相談して、各患者様に最適な治療を提供しています。現代の医療は高度で複雑となり、手術前後の効果的な全身管理がとても重要となっています。当科では医師とコ・メディカルがそれぞれの役割を分担し、1つのチームとして協力して診療にあたっています。良性疾患については、胆石、ヘルニアといった疾患に加えて、最近増えている炎症性腸疾患についても消化器内科と共に治療を行っています。DPCコード分類では同じ手術術式の多い疾患が拾い出されるため、上の表では良性疾患の症例数が多くなっています。悪性腫瘍はDPC分類では部位、術式、抗癌剤の有無などによって細分されるため1つの群の症例数は少なくなり上位5位に入りにくいですが、実際には当科が最も手術時間と労力を費やしているのは悪性腫瘍の治療です。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 108 8.81 10.83 0.00% 70.57
040200xx99x00x 気胸 21 6.81 9.18 0.00% 47.29
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 10 3.30 3.39 0.00% 71.30
040040xx99041x 肺の悪性腫瘍 - - 15.61 - -
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 - - 9.42 - -
呼吸器外科領域において治療対象として最も多い疾患は、肺癌です。肺癌は現在も全国的に増加しており、当院でも入院患者さんの数、手術患者さんの数ともに増加しています。当院においては、積極的に最新の肺癌治療手技を取り入れています。呼吸器外科においては、2007年より積極的に胸腔鏡下手術を導入し、2016年8月よりロボット手術などの最新外科手技を積極的に導入しています。また、肺癌の治療は集学的(関係診療科が協力して)に行うことが良いとされていますが、当院では、定位照射、PET-CTなどの最新放射線診断治療手技の放射線科、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などの最新化学療法の呼吸器内科、腫瘍内科と協働して、診断から治療まで最善、最新の治療を患者さんに提供しているのも当院の特徴です。
また、肺に穴が開いて、その穴から漏れ出た空気が胸の中(胸腔)に貯まり、呼吸困難を来す疾患を総じて「気胸」といいます。気胸の治療法には病態により、安静加療、ドレナージ、気管支鏡下気管支充填術、胸膜癒着療法、胸腔鏡下手術など、呼吸器内科、呼吸器外科が関わるため、その医療機関呼吸器系の総合力により治療成績は左右されます。外科手術が問題なく施行できる若年者だけでなく、超高齢、低肺機能の患者さんに対しても、近隣医療施設で手術不可能と診断された患者さんであっても、香川県での呼吸器外科の最後の砦であると自覚しており、胸腔鏡下手術の手技を応用して積極的に取り組んでいます。充実した設備を活かして、安全に手術を行って良好な成績を残しています。当院では2020年より気胸センターを立ち上げ、緊急対応の必要な緊張性気胸などに対しても、市中医療機関からの紹介ニーズに応えられるよう、体制の強化を図っています。
乳腺・内分泌外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍 50 8.68 6.02 0.00% 58.72
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 43 12.14 10.30 0.00% 62.12
090010xx99x4xx 乳房の悪性腫瘍 24 3.08 4.15 0.00% 57.79
090010xx99x30x 乳房の悪性腫瘍 18 3.11 6.87 5.56% 54.28
100130xx97x0xx 甲状腺の良性結節 18 8.00 7.34 0.00% 51.11
乳腺内分泌外科において、乳癌手術では、整容性の高い乳房温存手術を基本術式としています。腫瘍の大きい症例に対しては、術前化学療法を施行し、腫瘍を小さくしてから温存手術をおこなうこともあります。しかし残念ながら、病状により乳腺全摘術を選択せざるを得ない場合もあります。その場合は、術前より形成外科医と相談し、希望があれば乳房再建手術もおこなっています。再建方法としては、①人工乳房による再建②広背筋皮弁による再建③血管吻合をともなった腹部遊離皮弁による乳房再建④腹直筋皮弁による乳房再建をおこなえるようにしています。甲状腺手術では、進行甲状腺癌では拡大手術による根治術を目指し、早期の甲状腺癌や良性疾患に対しては低侵襲性手術を行っています。低侵襲性手術として、小切開法による甲状腺手術、内視鏡補助下甲状腺手術をおこなっています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) 33 22.42 22.56 15.15% 71.76
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 26 12.81 11.56 11.54% 81.81
050161xx9900xx 解離性大動脈瘤 21 13.10 17.53 9.52% 69.90
050161xx97x1xx 解離性大動脈瘤 13 24.69 29.23 30.77% 70.69
050163xx01x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 10 35.60 28.61 40.00% 75.50
心臓血管外科において、弁膜症は社会の高齢化に伴い増加している疾患で、特に心臓の出口にある大動脈弁が狭くなる大動脈弁狭窄症が増加しています。人工弁に置き換える弁置換術が基本的な治療法で、超高齢者の患者さんでも安定した成績で手術が行えています。最近では経カテーテル的大動脈弁移植術も行っています。一方心臓(左心室)の入り口にある僧帽弁は、きちんと閉じない閉鎖不全症が主で、自己弁を温存する弁形成術を中心に行っています。動脈瘤に対するステント-グラフト内挿術は、特に胸部大動脈瘤では体への負担が開胸手術に比べ格段に軽くてすみます。通常の人工血管置換術とステント-グラフトを症例ごとに最適と思われる治療を選択するようにしています。腹部大動脈瘤については、開腹人工血管置換術とステント-グラフト内挿術のどちらかを患者さんごとに評価して最適な方法を選択して行っています。急性大動脈解離(DPC名称は解離性大動脈瘤になっています)では、心臓から出てすぐの上行大動脈に解離が及んでいるStanford A型の場合はほとんどが緊急手術を必要とし、上行大動脈に解離が及んでいないB型の場合は通常手術を行わず薬物で治療しています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990201 脳梗塞 47 14.04 15.54 42.55% 69.55
010230xx99x00x てんかん 34 7.12 7.48 17.65% 66.62
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 33 9.30 9.68 30.30% 75.48
010010xx02x00x 脳腫瘍 29 20.03 21.17 10.34% 55.41
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 29 9.24 8.18 31.03% 66.72
脳神経外科で入院加療を行った患者さんで1番多い疾患は、脳梗塞の急性期の患者さんです。ほとんどの患者さんが発症から24時間以内の急性期に救急入院されています。急性期には、血流を再開させるためにアルテプラーゼ(t-PA)の静脈投与や、血管内手術による血栓回収療法などを行っています。入院期間は約2週間で、過半数の患者さんが回復して自宅へ退院されますが、約40%の患者さんは、さらなる機能回復を目指してリハビリテーションの継続のために転院されています。
2番目に多い疾患は、てんかんで、けいれん発作等で緊急入院となる救急疾患です。脳卒中や脳腫瘍、頭部外傷後に発生する症候性てんかんが多く、投薬により回復します。
3番目に多い疾患は頭部外傷で、脳神経外科が扱う救急疾患のひとつです。当院は、あらゆる臓器の救急疾患に対応できるソフトとハードを兼ね備えた総合病院ですので、頭部以外の臓器に合併損傷を伴っている重症患者が搬送されることが多いのが特徴です。当院で手術を含む約10日間の急性期治療ののちに、約30%の患者さんはリハビリテーション継続のために転院しています。
4番目に多い疾患は脳腫瘍です。良性のものや悪性のものが含まれますが、原則的にまず手術により摘出を行います。良性の場合は手術のみで約10日間で退院されますが、悪性の場合は術後の放射線治療や化学療法が必要になりますので4~6週間ほどの入院が必要になります。そのため、平均の在院日数は約20日になっています。ほとんどの患者さんは自宅退院されますが、発症時から重度の障害が生じている場合には、転院でリハビリの継続をされています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 111 19.05 25.09 70.27% 81.40
070350xx01xxxx 椎間板変性、ヘルニア 40 10.33 10.36 2.50% 48.93
070343xx01x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 38 18.05 20.40 36.84% 69.03
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 31 22.55 23.36 9.68% 76.55
160760xx97xx0x 前腕の骨折 30 5.17 5.18 3.33% 32.67
令和2年度における、整形外科の手術件数は1550例程度でした。股関節の骨折に対して骨接合を行う手術や人工骨頭置換術が最多でした。第2位、3位は脊椎の手術で増加傾向にあります。変形性膝関節症等に対する人工膝関節置換術が4位でした。 前腕(肘から手関節)骨折の骨接合術が5位で主に高齢者の手関節骨折が多い傾向です。その他、重度外傷、高齢者の骨折、脊椎や関節の変性疾患など整形外科の各領域の手術を幅広く行っています。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080010xxxx0xxx 膿皮症 12 14.50 12.87 16.67% 59.83
070520xx97xxxx リンパ節、リンパ管の疾患 11 9.00 8.51 0.00% 65.55
080260xxxxxxxx その他の皮膚の疾患 - - 6.78 - -
070520xx99xxxx リンパ節、リンパ管の疾患 - - 8.60 - -
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 - - 3.07 - -
形成外科では、顔や手足をはじめ全身の表面にできた傷や変形をきれいに治すことを主な目的としています。けが、顔の骨折、やけど、できもの、あざ、先天異常、治りにくい傷(難治性皮膚潰瘍)、がんの切除・再建および乳房再建などの治療をおこなう外科系の専門領域です。入院治療を行う疾患としては、蜂窩織炎(膿皮症)、リンパ浮腫、眼瞼下垂症が上位を占めています。蜂窩織炎とは、免疫力が低下している場合に皮膚の傷などから細菌が侵入し、皮膚とその下にある脂肪組織などに炎症を引き起こす病気です。形成外科では難治性皮膚潰瘍やリンパ浮腫からの蜂窩織炎での入院が大部分を占めています。リンパ浮腫とは、様々な原因によってリンパ液の流れが滞ることで起こるむくみです。原因としては、日本では悪性腫瘍に対する手術や放射線治療、あるいは外傷や感染による二次性(続発性)のものが圧倒的に多くなっています。早期に予防することで進行を遅らせることが可能です。軽症例では弾性包帯やストッキング、マッサージなどの保存的治療が有効です。進行例では保存的治療に加えて外科的治療が有効です。当院では保存的治療は専門のリンパ浮腫療法士や理学療法士が行っております。眼瞼下垂とは、主に加齢や外力(白内障手術後、コンタクトレンズの長期使用、アトピーなどで頻繁にまぶたをこするなど)が原因で起こる上まぶたが十分に挙がらない状態のことです。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害 69 5.54 6.13 2.90% 0.00
080270xxxx1xxx 食物アレルギー 52 1.02 2.12 0.00% 3.65
030270xxxxxxxx 上気道炎 27 4.63 4.85 0.00% 1.63
150070x1xx01xx 川崎病 23 6.70 10.15 0.00% 0.57
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 22 3.77 5.63 0.00% 2.41
当院では年間500件近い出産があります。小児科は産婦人科と連携し、早産児や低出生体重児に限らず、少しでも異常のある新生児は未熟児室に入院頂き、十分な管理の下で必要な検査や治療をしています。入院中もご家族は未熟児室に何度でも入室して頂くことが可能で、児と積極的に接することが出来ます(現在はコロナウィルス流行のため入室回数を制限させていただいています)。最近食物アレルギーのある小児が増加しており、誤食によりアナフィラキシーを来した子どもも報道されています。一方で食物アレルギーがある児でも一生食事制限が必要なことは少なく、食事制限を長期間続けることは心身の発達にも望ましくありません。しかしいつからどれだけの経口摂取ができるかは血液検査等からは判断が困難です。このため、十分にリスクに備えた上でごく少量ずつアレルゲンとなる食物を摂取して摂取可能か否かを判断する食物負荷試験が近年増加しており、当科でも積極的に行っています。川崎病は小児特有の原因不明の血管炎症候群で、発熱・発疹・眼球充血・口唇紅潮・頚部リンパ節腫脹・四肢末端の浮腫などが主症状です。特に治療開始が遅れると冠動脈瘤などの後遺症を残す危険があり、早期の診断と積極的な治療が重要です。当科では小児の心臓病専門医が中心に、県下最大数の川崎病の治療を行っています。上気道炎は主にウィルス疾患ですが、小児は水分摂取が低下し脱水に至ることも多く、点滴が必要な場合があります。また急性喉頭炎(クループ症候群)は特有の咳嗽とともに急激に呼吸困難を来し窒息に至ることもある乳幼児の声門周囲の炎症疾患です。乾燥する冬期に多く、自宅ではまず加湿と安静が重要です。しかし夜間などに突然発症し、急速に悪化する場合も多く、重症の場合は入院の上で吸入や酸素投与、ステロイド投与などを行います。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 - - 9.12 - -
100100xx99x0xx 糖尿病足病変 - - 21.56 - -
080010xxxx0xxx 膿皮症 - - 12.87 - -
050180xx99xx0x 静脈・リンパ管疾患 - - 13.62 - -
080080xxxxxx0x 痒疹、蕁麻疹 - - 5.07 - -
帯状疱疹は水痘帯状疱疹ウイルスによる感染症で、通常は内服治療を行いますが、免疫能力の低い方やご高齢の方、衰弱の強い方などでは入院で点滴治療を行います。また、蜂窩織炎は細菌による感染症で、入院の上、抗生剤の点滴で治療することが一般的です。類天疱瘡、天疱瘡などの水疱症では、副腎皮質ホルモン内服・傷の手当てなどのために入院して治療を行い、反応が悪い場合には、ガンマグロブリン製剤の点滴や血漿交換が必要な場合があります。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 117 2.02 2.54 0.00% 70.75
110420xx02xx0x 水腎症等 93 2.29 4.13 0.00% 69.53
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 76 6.11 7.13 0.00% 74.46
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 49 5.08 5.67 0.00% 61.06
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍 47 12.00 11.89 0.00% 68.91
泌尿器科疾患における治療は、尿路性器癌(腎癌、腎盂尿管癌、膀胱癌、前立腺癌)に対するものが最も多くなっています。その内訳として、腎癌に対しては、早期の場合、積極的に腎温存手術(ロボット支援腎部分切除術)を行い、腎温存のできない大きな癌に対しては、鏡視下腎摘除術を行っています。転移を有する進行癌に対しては、薬物療法や免疫療法を主体に治療を行っています。腎盂尿管癌に対しては、早期の場合、鏡視下での手術療法を行い、転移を有する進行癌に対しては全身抗癌剤治療、免疫療法を主体に治療を行っています。膀胱癌に対しては、早期の場合、内視鏡手術を中心に治療を行い、転移のない進行癌に対しては膀胱全摘(ロボット支援手術)を、転移を有する進行癌に対しては全身抗癌剤治療、免疫療法を主体に治療を行っています。前立腺癌に対しては、早期の場合ロボット支援手術を行い、転移・進行癌に対しては内分泌、放射線、全身抗癌剤治療などを行っています。悪性腫瘍以外の疾患では、腎尿管結石に対しては、結石の大きさや状態に応じて、体外衝撃波結石破砕術や細径内視鏡下のレーザーを用いた砕石術を行っています。また、婦人科疾患や消化器疾患に伴う尿管狭窄に対して尿管ステント留置による尿路確保を積極的に行っています。
産科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 28 9.04 9.45 0.00% 30.68
120260xx01xxxx 分娩の異常 22 9.77 9.45 0.00% 33.36
120170x199xxxx 早産、切迫早産 13 28.77 21.68 23.08% 29.00
120180xx02xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 12 7.92 7.97 0.00% 33.42
120140xxxxxxxx 流産 10 1.10 2.42 0.00% 32.60
妊娠・出産はほとんどの場合が順調に経過しますが、母体や胎児、あるいは両方に突然問題が起こることがあります。妊娠初期にはさまざまな理由で10~15%が流産になるとされています。主な原因は胎児側の要因で自然淘汰と考えられます。お腹の痛みと生理よりも多い出血があって、多くは自然流産となりますが、子宮内にとどまることがあります(稽留流産)。その場合は子宮内容除去術(流産手術)が必要になることがあります。お腹の強い張りや痛み、子宮の出口(頚管)が短じかくなったり緩む・開くなど、放置していれば流産・早産となる可能性の高い状態を切迫流産・切迫早産と言い、自宅安静や張り止め薬を飲んでも症状の改善が認められない場合は、入院となり、さらなる安静と張り止め薬の点滴をして、流早産を防ぎます。母体の持病の悪化や妊娠に伴う合併症(妊娠高血圧症候群や妊娠性糖尿病など)が認められることもあります。小児科やその他の科と連携して周産期管理を行いますが、母体・胎児の状態や週数により、より高次施設へ母体搬送することがあります。骨盤位や多胎妊娠、既往帝王切開後、胎盤の位置異常などは、帝王切開を行っています。妊娠経過が順調で、経腟分娩をトライしていても、分娩が進行しなかったり、胎児にストレスが認められた場合は緊急で帝王切開となる場合があります。帝王切開率は約25~30%となっています。お母さんにとって安心してお産ができ、元気な赤ちゃんを迎えていただけるよう、お手伝いしていきます。
婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍 98 3.14 4.44 0.00% 61.13
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 49 2.90 3.11 0.00% 42.18
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 46 5.74 6.16 0.00% 39.89
120010xx99x70x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 45 3.00 4.24 0.00% 61.82
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 43 9.16 9.57 0.00% 45.49
子宮頚部悪性腫瘍(いわゆる子宮頚癌)に対する初回治療法として、大きくは①手術療法②同時放射線化学療法の二つがあります。診察所見や画像診断を参考に、治療適応を決定します。ずっと以前は、広汎子宮全摘術後に放射線治療を追加するケースがみられましたが、下肢リンパ浮腫などの治療後遺症のリスクが大きくなってしまいます。現在画像診断の進歩もあり、治療前診断の精度を上げて適切な治療を提供する中で、放射線治療の重要性が益々増してきています。子宮体部悪性腫瘍(いわゆる子宮体癌)や子宮付属器悪性腫瘍(いわゆる卵巣癌・卵管癌)の初回治療は、手術療法と化学療法です。子宮体癌は、術後再発リスク評価を参考に抗癌剤治療を行います。卵巣癌はほとんどの場合、術後あるいは術前後に薬物療法が必要になります。人間ドックなど健康診断が普及すると、子宮頚癌になる前段階で病気を早期発見しやすくなります。子宮頚部高度異形成と診断された場合、挙児希望のある方には子宮頚部切除術を行うことで、妊娠の可能性を残すことが出来ます。子宮の良性疾患として代表的な子宮筋腫と子宮腺筋症は、症状が重い場合は手術療法を行います。卵巣の良性疾患である卵巣嚢腫も、薬物治療の効果が期待できないものやある程度大きなものは、手術療法を行います。手術を受ける方の負担を少しでも軽減するため、可能な限り腹腔鏡手術を行っています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 63 2.00 2.76 0.00% 75.54
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 22 2.00 4.95 0.00% 74.32
020320xx99xxxx 眼瞼、涙器、眼窩の疾患 - - 9.08 - -
020130xxxxxxxx 原田病 - - 14.13 - -
100380xxxxxxxx 体液量減少症 - - 10.51 - -
眼科では手術目的の入院がほとんどです。最も多いのは白内障手術です。手術以外の入院としては視神経炎、ぶどう膜炎、感染症などに対する投薬加療での入院です。
耳鼻咽頭科・頭頸部外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 32 9.06 7.94 0.00% 20.97
030240xx97xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 18 10.06 8.69 0.00% 22.06
03001xxx0100xx 頭頸部悪性腫瘍 17 18.82 13.68 11.76% 70.53
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 17 2.00 2.04 0.00% 64.88
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 15 9.67 7.20 0.00% 65.13
耳鼻咽喉科・頭頸部外科で、1番目に多い扁桃・アデノイドの手術は習慣性扁桃炎やIgA腎症、睡眠時無呼吸症候群の方に対して、症状改善目的で扁桃摘出やアデノイド切除を施行します。
2番目に多い扁桃炎・咽喉頭炎は扁桃炎のコントロールが不良となり、扁桃周囲に膿がたまり、穿刺や切開で排膿し外来治療では十分治療を行えない重症患者さんや喉頭周囲が腫れることにより窒息の危険が高い患者さんの入院加療を行っております。3番目に多い頭頸部悪性腫瘍は頭頸部悪性腫瘍に対して集学的治療(手術・放射線・化学療法)の一環として手術加療を施行しております。4番目に多い睡眠時無呼吸症候群の方の原因、重症度を判断するため1泊2日で検査を施行しております。5番目に多い耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍に対して手術加療を施行しております。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 207 19 27 30 - 42 1 8,7
大腸癌 63 30 50 55 33 49 1 8
乳癌 59 49 20 14 - 21 1 8
肺癌 101 20 47 64 24 120 1 8
肝癌 36 21 29 - - 138 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
【指標の説明】
5大がんと呼ばれる胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、肝がんで入院された患者数を、初発のUICC病期分類に基づくステージで集計しています。対象期間中に同一患者さんが複数回入院された場合も、1例としてカウントしています。
UICC病期分類とは、国際対がん連合(Union for International Cancer Control, UICC)によって定められた、がんの大きさや進展度(T)、リンパ節転移(N)、遠隔転移の有無(M)の3つの要素によって、0期~Ⅳ期に分類したもので、0期のものは集計対象外としています。数字が大きいほど「進行しているがん」といえます。
入院中に検査結果が判明せず病期分類ができなかった場合は、「不明」に分類しています。
患者数が10未満の場合は、患者さんが特定される可能性があるため「-(ハイフン)」で表示しています。

【解説】
2021年度、悪性腫瘍で入院した患者さんは約3,200人で、このうち約4割を占めているのが5大がんです。早期がんから進行がんまで、幅広い病期を診療していることが分かります。
胃がんはⅠ期の患者さんが多く、内視鏡的治療が多く行われています。
大腸がんはⅠ~Ⅲ期と幅広い病期に対して、腹腔鏡による手術が行われています。
乳がんはⅠ~Ⅱ期の患者さんが多く、乳房温存手術に化学療法や放射線療法を組み合わせた治療が多く行われています。
肺がんはⅠ期が多い一方で、「再発」やStageⅣの患者さんも多くなっています。Ⅰ期の場合は胸腔鏡による手術が多く行われています。再発や進行がんでは、化学療法のために入退院を繰り返すことが多くなります。
肝がんは「再発」が多く、肝動脈化学塞栓術、ラジオ波焼灼療法などの内科的治療が、繰り返し行われます。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 14 8.57 54.93
中等症 65 17.37 76.68
重症 14 20.50 82.21
超重症 - - -
不明 - - -
成人市中肺炎の重症度別で患者数が最も多いのは、中等症の患者さんとなっております。
重症度が高くなると、平均在院日数が長くなり、平均年齢が高くなっています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 165 16.78 75.42 40.64%
その他 22 10.18 69.68 3.21%
ほとんどの脳梗塞の患者さんは、突然の神経症状すなわち脳卒中で発症し、発症3日以内の急性期に救急入院しています。それ以後の入院は、慢性虚血に対して脳外科的治療を要するために他院から紹介になった患者さんです。
平均年齢は70歳を超えており、高齢者に多いのは、動脈硬化が原因であるためです。
当院は急性期病院ですので、急性期治療としては3週間以内で全身状態が安定するところまで入院加療を行います。その後も引き続きリハビリを要する患者さんが多く、急性期に入院した患者さんのうち40%の方が転院しています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
総合診療科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) - - - - -
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 - - - - -
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 - - - - -
総合診療科では、原則的に手術を入院中にする患者さんは少なく、不明熱精査のための下部内視鏡検査時の大腸ポリープ切除術、発熱精査中での総胆管結石に対する胆道ステント留置術、尿管狭窄に対する経尿道的尿管ステント術でした。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 等 152 1.54 6.54 0.00% 73.44
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2センチメートル未満 等 127 1.28 2.53 0.79% 73.60
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) 等 96 1.84 6.16 7.29% 74.56
K6535 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 その他のポリープ・粘膜切除術 等 72 1.69 4.83 0.00% 73.56
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 68 1.88 9.35 11.76% 75.40
消化器内科では、胃あるいは大腸腫瘍に対する内視鏡的ポリープ・粘膜切除術あるいは粘膜下層剥離術を多く行なっております。外来での日帰り手術も多いですが、血をさらさらにする薬を飲んでおられる患者さんも多くなり、切除時の出血の危険が高い患者さんは入院で加療しています。県内の広い範囲から受診されるため、当日入院当日治療が出来にくく、前日入院で対応しています。全体として難しい治療が多いのは事実ですが、術後の入院日数の短縮に取り組んでいます。胆管の結石や感染症は重症化する場合も多く、広いエリアから緊急内視鏡処置を受け入れているため、治療手技としての内視鏡的乳頭切開術・乳頭括約筋切開や内視鏡的胆道ステント留置術が多くなっています。
呼吸器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) - - - - -
K386 気管切開術 - - - - -
K496-5 経皮的膿胸ドレナージ術 - - - - -
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - - - - -
K508-22 気管・気管支ステント留置術(軟性鏡) - - - - -
呼吸器内科では、肺癌の脳転移に対し脳神経外科で腫瘍摘出術を行う場合があります。呼吸不全による人工呼吸管理が長期となる場合、気管切開を行うことがあります。膿胸に対し、抗生剤治療に経皮的ドレナージ術を併用する場合があります。誤嚥性肺炎を繰り返し、嚥下障害の改善がない場合、胃瘻造設術を行うことがあります。腫瘍などにより気管・気管支の狭窄を認める場合、気管・気管支ステント留置術を行う場合があります。
肝臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 130 1.28 10.40 1.54% 75.34
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法 17 2.12 7.53 0.00% 60.06
K697-32ロ 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(2cmを超える)(その他) - - - - -
K697-31ロ 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(2cm以内)(その他) 等 - - - - -
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 - - - - -
肝臓内科の入院患者さんで一番多い疾患は肝細胞癌です。肝細胞癌の治療は肝臓予備能(アルブミン値、黄疸値、凝固蛋白値、腹水の程度、脳症の程度から判定します)と肝細胞癌の状態(ステージ、癌の個数と大きさ)から治療方針を決めます。外科切除の適応がない場合には内科的治療として肝動脈化学塞栓術(TACE)、経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)などの局所治療を行いますが、このような局所療法で根治が期待できない場合には分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などの薬物治療を行っています。造影剤CTやMRIで濃染する 多血性の肝細胞癌であれば、肝動脈化学塞栓術(TACE)を実施し、その後に経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)を行うことが多いです。RFAの適応は肝癌治療ガイドライン(癌の大きさと個数が3㎝3個以内もしくは5cm以下1個)を原則としています。4㎝を超える大きめの肝癌に対しては1回の穿刺で完全に焼灼することは困難であり、RFAより大きな焼灼範囲が得られるマイクロ波を用いて焼灼しています。病院によっては、TACEとRFAを別々の入院で実施していますが、当院では患者さんの利便性も考えて1入院で2つの手技を実施してきたため肝細胞癌に対する入院期間は全国の平均在院日数より若干長くなっていました。最近では当院においても65歳以上の患者さんには、TACEとRFAを別々の入院で行い治療による全身と肝臓のダメ-ジが軽減する様にしています。肝硬変の合併症の一つである肝硬変に伴う胸腹水に対して胸水と腹水を穿刺排液するのみではなく、清潔なバッグに回収し濾過と濃縮を実施し、回収した胸・腹水中のアルブミンを点滴静注する胸水・腹水濾過再靜注法(CART)も数日間の入院で行っています。食道・胃静脈瘤の破裂で受診された場合は消化器内科にて内視鏡的に緊急止血処置を行い、その後当科で肝不全の治療を行い、肝予備能と全身状態が回復した患者さんには硬化療法などで再出血の危険が軽減するように治療しています。肝細胞癌が胆管に浸潤した場合には胆管が閉塞し黄疸が出ることがあります。この場合は消化器内科において内視鏡的に胆道ステント留置術を実施し、内視鏡的に治療が困難な場合は肝臓内科で超音波で観察しながら経皮経肝的に胆管ステント留置を行っています。
腎臓・膠原病内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 等 32 5.94 14.56 6.25% 69.38
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 11 7.18 27.36 0.00% 58.45
K6072 血管結紮術(その他) - - - - -
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) - - - - -
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) - - - - -
腎臓膠原病内科では、他科と連携して手術・処置を行っています。血液透析を導入するためのシャント手術は心臓血管外科と連携しています。また腹膜透析導入には消化器外科と連携し腹膜透析カテーテルを挿入しています。シャント狭窄や閉塞に対しては循環器内科や心臓血管外科で血管拡張術や血栓除去術を施行していただいています。その他腎臓病患者さんの合併症(冠動脈疾患や悪性腫瘍など)の精査を行っています。
糖尿病内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) - - - - -
糖尿病・内分泌内科では、基本的に手術は施行しませんが、他科での術前管理にともなう手術が少数例あります。
日本糖尿病学会の2001-2010年まで45,708名の糖尿病患者の死亡原因の調査によると、38%の方が悪性新生物(ガン)で死亡しており、心疾患13%、肺炎12%、脳血管7%、その他30%で、ガンが最も大きな比率を占めています。
そのため、糖尿病をもっておられるかたは日々の健康診断がもちろん大切ですが、当院の教育入院中の検査で偶然ガンが見つかることがあります。とくに検便をきっかけとした大腸癌や腹部エコー/CTをきっかけとした膵癌が発見されることが多いです。
血液内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) - - - - -
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植) - - - - -
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満) - - - - -
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) - - - - -
K1911 脊髄腫瘍摘出術(髄外) - - - - -
血液内科での手術は、末梢血幹細胞移植が中心となります。他院から紹介で、診断目的での脳腫瘍生検およびリンパ節摘出術を行う事があります。
腫瘍内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1741 水頭症手術(脳室穿破術(神経内視鏡手術による)) - - - - -
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) - - - - -
当科で行う手術は外来でのポート造設術が主体で、脳腫瘍で紹介された方は脳外科で内視鏡的な脳室穿破術と生検を施行されていました。
緩和ケア内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) - - - - -
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) - - - - -
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 - - - - -
K6181 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(四肢) - - - - -
K682-2 経皮的胆管ドレナージ術 - - - - -
緩和ケア内科では、専門的症状緩和治療を行っています。中でも痛みについては、ペインクリニック専門医でもあり、一般的な方法では取れない痛みの治療も行っています。その一つが、脊髄の近くにカテーテルを留置して痛み止めの薬剤を持続的に注入する持続くも膜下あるいは硬膜外ブロックで、鎮痛薬の全身投与では取れない激痛を緩和しています。薬を入れる入り口となるポートを皮下に埋め込むことで、確実に投与でき自宅でも同様の治療が続行できるようになります。
そのほかの手術である中心静脈ポートの留置や胆道、尿管へのステント留置などは、状況に応じて苦痛の緩和のために必要と考えた患者さんに、各専門科に施行を依頼したものです。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術 心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの 等 379 1.93 2.54 0.26% 67.62
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 等 129 2.63 2.83 1.55% 67.63
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術 その他のもの 68 1.54 2.38 0.00% 61.16
K5972 ペースメーカー移植術 経静脈電極の場合 等 59 1.80 7.36 11.86% 79.46
K5461 経皮的冠動脈形成術 急性心筋梗塞に対するもの 48 0.02 18.38 20.83% 71.10
循環器内科では、頻拍性不整脈に対するカテーテル心筋焼灼術を行っており、特に心房細動に対するカテーテル治療が増加しています。心房中隔穿刺を行うもの(主に心房細動)とそれ以外でコードが分かれていますが合わせると470例を超えています。                                          虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)に対する経皮的冠動脈ステント留置術や経皮的冠動脈形成術といった心臓カテーテル治療も症例数が多くなっております。心臓カテーテル治療とは、腕や足の血管から心臓まで管を通して動脈硬化で狭くなった心臓の血管(冠動脈)を治療する方法です。使用する器材によりコードが異なり、また複数回行うこともあり、合わせると440例を超えています。急性心筋梗塞に対する緊急対応も24時間行っており、多くの症例の治療を行っています。また腎臓の動脈や下肢の動脈の狭窄に対しても同様のカテーテル治療を行っています。
脳神経内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K386 気管切開術 - - - - -
K154-3 定位脳腫瘍生検術 - - - - -
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 - - - - -
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) - - - - -
K0272 筋炎手術(その他の筋) - - - - -
脳神経内科は、脳・神経・筋疾患の内科的治療を担当する診療科ですので、手術治療は基本的に行いません。脳神経内科入院中の患者さんに対して行う手術としては、神経疾患により自力で呼吸ができなくなったり、自力で痰を喀出することができなくなった患者さんに対して、気管切開術を行う場合もあります。また、神経疾患により食事を経口摂取することができなくなった患者さんの栄養管理のために、胃瘻造設術や中心静脈カテーテル留置の手術行うケースがあります。神経筋疾患の診断目的で脳神経内科が行う手術としては、筋生検・神経生検があります。
消化器・一般外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 99 1.12 4.11 1.01% 61.19
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 72 4.19 11.90 8.33% 71.61
K655-22 腹腔鏡下胃切除術 悪性腫瘍手術 等 44 3.66 13.82 11.36% 71.11
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 29 1.34 2.38 0.00% 70.97
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの 等 27 0.37 4.52 0.00% 36.07
消化器・一般外科では、消化器悪性腫瘍(がん等)の手術を多数行っており、数だけでなく手術技術においても高い評価を受けています。2020年の手術症例数は、大腸悪性腫瘍138例(結腸86例/直腸52例 )、胃悪性腫瘍82例、食道悪性腫瘍8例、肝臓悪性腫瘍65例、膵臓悪性腫瘍28例でした。大腸癌、胃癌、食道癌手術の大部分は鏡視下手術(腹腔鏡または胸腔鏡)で行っています。良性疾患の手術数は、胆石手術121例、ヘルニア手術84例、虫垂炎手術40例、炎症性腸疾患手術45例などとなっています。香川県内最多の消化器外科手術を行っている病院として、その責任を自覚し、今後も更に手術と診療の質を向上していきたいと考えております。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの 等 62 2.03 8.10 3.23% 70.94
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 部分切除 30 2.10 4.60 0.00% 70.00
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 区域切除 14 1.71 5.29 0.00% 72.29
K5131 胸腔鏡下肺切除術 肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの) - - - - -
K496-2 胸腔鏡下醸膿胸膜又は胸膜胼胝切除術 - - - - -
呼吸器外科領域において治療対象として最も多い疾患は、肺癌です。肺癌は現在も全国的に増加しており、当院でも入院患者さんの数、手術患者さんの数ともに増加しています。当院においては、積極的に最新の肺癌治療手技を取り入れています。呼吸器外科においては、2007年より積極的に胸腔鏡下手術を導入し、2016年8月よりロボット手術などの最新外科手技を積極的に導入しています。また、肺癌の治療は集学的(関係診療科が協力して)に行うことが良いとされていますが、当院では、定位照射、PET-CTなどの最新放射線診断治療手技の放射線科、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などの最新化学療法の呼吸器内科、腫瘍内科と協働して、診断から治療まで最善、最新の治療を患者さんに提供しているのも、当院の特徴です。肺癌の手術においては、呼吸機能が問題でない場合、標準的な肺葉切除術を積極的に行っていますが、不幸にして喫煙などにより肺機能はすでに低下している患者さんに対しても、簡単に手術を諦めるのではなく、当院の禁煙外来、呼吸リハビリテーション外来などを駆使して、呼吸機能の改善を図り、肺癌の治療として最も確実な方法である外科手術を出来るだけ行う方針としています。超高齢、低肺機能の患者さんに対しても、近隣医療施設で手術不可能と診断された患者さんであっても、香川県での呼吸器外科の最後の砦であると自覚しており、充実した設備を活かして、安全に手術を行って良好な成績を残しています。
また、気胸に対する胸腔鏡下手術についても、遷延化した肺瘻に対して最も確実な治療方法であり、20歳前後男性の自然気胸、タバコ関連肺疾患からの40歳を過ぎた頃から発症する続発性気胸に対しても積極的に行っています。そのことにより、早期の退院、最低限の呼吸機能低下を実現でき、素早い日常生活への復帰を目指しています。
さらに、結核病棟をもつ医療機関の呼吸器外科として、結核性膿胸、一般細菌性膿胸などに対しても積極的に胸腔鏡下手術を応用しており、早期に胸膜が肥厚して呼吸機能が低下してくる前に、膿胸の根治手術を目指し、こちらも早期の退院、最低限の呼吸機能低下を実現し、素早い日常生活への復帰を目指して治療を行っています。
乳腺・内分泌外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4762 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 50 2.22 5.46 0.00% 58.72
K4763 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 23 2.13 8.13 0.00% 70.39
K4611 甲状腺部分切除術、甲状腺腫摘出術 片葉のみの場合 等 17 1.47 5.29 0.00% 53.06
K4765 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施しないもの 12 1.42 10.08 0.00% 54.67
K4631 甲状腺悪性腫瘍手術 切除(頸部外側区域郭清を伴わないもの) - - - - -
乳癌手術では、整容性の高い乳房温存手術を基本術式としています。腫瘍の大きい症例に対しては、術前化学療法を施行し、腫瘍を小さくしてから温存手術をおこなうこともあります。しかし残念ながら、病状により乳腺全摘術を選択せざるを得ない場合もあります。その場合は、術前より形成外科医と相談し、希望があれば乳房再建手術もおこなっています。再建方法としては、①人工乳房による再建②広背筋皮弁による再建③血管吻合をともなった腹部遊離皮弁による乳房再建④腹直筋皮弁による乳房再建をおこなえるようにしています。甲状腺手術では、進行甲状腺癌では拡大手術による根治術を目指し、早期の甲状腺癌や良性疾患に対しては低侵襲性手術を行っています。低侵襲性手術として、小切開法による甲状腺手術、内視鏡補助下甲状腺手術をおこなっています。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5551 弁置換術 1弁のもの 等 28 6.61 18.21 21.43% 71.64
K5612ロ ステントグラフト内挿術 1以外の場合 腹部大動脈 等 19 2.79 10.68 10.53% 81.11
K5612イ ステントグラフト内挿術 1以外の場合 胸部大動脈 等 17 10.88 15.65 29.41% 79.24
K5606 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの) 等 13 2.23 20.31 7.69% 75.31
K5603ニ 大動脈瘤切除術(上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術) 等 11 2.36 23.09 27.27% 60.64
心臓血管外科において、腹部大動脈瘤に対する開腹人工血管置換術は、腹部大動脈瘤に対する基本的手術で、安全性も高い手術です。非破裂例での待期手術では術後10日前後で退院できることが多いです。ステント-グラフトも行われますが,長期の成績は人工血管置換術の方が良好なため、超高齢者など、リスクの高い患者さんを中心に行うようにしています。社会の高齢化に伴い、大動脈弁が狭くなる大動脈弁狭窄症が増加しています。人工弁に置き換える弁置換術が基本的な治療法で、超高齢者の患者さんでも安定した成績で手術が行えています。経カテーテル的大動脈弁置換術は負担が少なく、術後短期間で退院可能です。左心室の入り口にある僧帽弁に対しては弁を残して修理する弁形成術が行われることが多く、弁置換術に比べ多くの利点があります。心房細動に対するメイズ手術は、ほとんどが他の手術に合わせて行われる手技で、7割程度心房細動を停止することが出来、可能な限り行うようにしています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 35 4.46 20.80 22.86% 59.97
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 30 0.93 10.37 30.00% 78.03
K178-4 経皮的脳血栓回収術 19 0.11 26.63 63.16% 75.79
K1742 水頭症手術(シャント手術) 15 6.47 22.13 20.00% 64.33
K1781 脳血管内手術(1箇所) 13 0.15 24.77 7.69% 53.46
脳神経外科において1番目に多い手術は、脳腫瘍の摘出術です。良性のものと悪性のものがあります。良性の場合は術後抜糸がすめば1週間ほどで退院できます。悪性の場合は、引き続き放射線治療や化学療法の追加が必要で、約1.5カ月の入院が必要です。
2番目に多い手術は、慢性硬膜下血腫に対する穿孔洗浄術です。高齢者に多く、軽微な頭部外傷を負った1~2ヶ月後に、頭痛や歩行障害、認知機能の低下などの症状で発症します。比較的急速に悪化するため、救急入院して緊急手術となることがほとんどです。手術は局所麻酔で短時間で終えることができ、術後はたちまち症状が改善し、もとの状態に戻って、約7割の方が自宅へ退院されます。
3番目に多い手術は、経皮的脳血栓回収術です。これは脳梗塞に対する血管内治療です。脳動脈の閉塞により突然の神経症状の発症、すなわち脳卒中で救急入院されます。緊急で血管内治療により血栓を除去して血流が再開できると、脳梗塞に陥ってしまう神経細胞を最小限にできますが、治療結果の程度は様々で、短期入院で自宅退院される方から、長期にわたるリハビリが必要になる方までおられます。
4番目に多い手術は水頭症に対するシャント手術です。特発性の水頭症以外に、くも膜下出血後や脳腫瘍に伴うものなどがあります。
5番目に多い手術は、脳動脈瘤に対する血管内手術です。動脈瘤に対する治療法としては、開頭によるクリッピング術と、血管内手術によるコイル塞栓術のふたつがあります。血管内手術では、動脈を介してカテーテルを送り込み、金属製のコイルを動脈瘤内に詰めて閉塞させます。開頭手術に比べて侵襲の少ない方法であり、年々増加傾向にあります。動脈瘤が破裂してくも膜下出血で発症して入院される場合は入院期間が約1か月になりますが、まだ破裂していない動脈瘤に対する予防的な手術の場合は、短期間で後遺症なく自宅へ退院されます。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 等 95 2.77 15.43 64.21% 76.58
K0462 骨折観血的手術(前腕) 等 55 2.25 10.45 18.18% 52.78
K0821 人工関節置換術(膝) 等 55 1.95 18.78 20.00% 72.76
K1423 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方椎体固定) 50 2.88 21.84 30.00% 70.60
K0811 人工骨頭挿入術(股) 等 47 3.30 16.02 68.09% 82.13
令和2年度における、整形外科の手術件数は1550例程度でした。大腿骨骨折観血的手術が最多で、この手術は骨折部の骨接合を行う手術です。
第2位は前腕(肘から手関節)骨折の骨接合術、第3位は股関節や膝関節の変形性関節症等に行う人工関節置換術の手術であり、脊椎の固定手術が第4位ですが、増加傾向にあります。5位は股関節の骨折に対して行う人工骨頭置換術でした。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K628 リンパ管吻合術 16 1.00 7.00 0.00% 64.94
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) 等 - - - - -
K0134 分層植皮術(200cm2以上) - - - - -
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(躯幹) 等 - - - - -
K0102 瘢痕拘縮形成手術(その他) 等 - - - - -
形成外科では、顔や手足をはじめ全身の表面にできた傷や変形をきれいに治すことを主な目的としています。けが、顔の骨折、やけど、できもの、あざ、先天異常、治りにくい傷(難治性皮膚潰瘍)、がんの切除・再建および乳房再建などの治療をおこなう外科系の専門領域です。形成外科の手術で一番多いのはほくろやおできなど皮膚のできもの(皮膚腫瘍)の摘出術ですが、ほとんどは外来での手術です。入院手術で一番多いのはリンパ浮腫に対する外科的治療として、マイクロサージャリー(顕微鏡下の微小手術)の技術を用いたリンパ管静脈吻合術です。眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法)は加齢や外力(白内障手術後、コンタクトレンズの長期使用、アトピーなどで頻繁にまぶたをこするなど)が原因で起こる腱膜性眼瞼下垂症に対して行います。外傷や熱傷で皮膚欠損が大きく、縫合による閉鎖が不可能な場合に植皮術を用います。自分の皮膚を用いる植皮術には使う皮膚の厚さで、分層植皮術から全層植皮術までいろいろな方法があります。形成外科で行う四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術の一番多い原因は脂肪腫です。脂肪腫は、脂肪細胞が腫瘍化したものですが、筋肉内の深いところに出来ていたり、まれに悪性のものもあるため、きちんとした検査を行った上で必要に応じて摘出術を行います。瘢痕拘縮とは傷あとが引きつれて思うように関節などが動かせなくなる状態で、保存的治療で改善しない場合は、Z形成術、W形成術をはじめとする局所皮弁術等の瘢痕拘縮形成術を行います。分層植皮術や全層植皮術を併用することもあります。
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9132 新生児仮死蘇生術 仮死第2度のもの - - - - -
K9131 新生児仮死蘇生術 仮死第1度のもの - - - - -
K7151 腸重積症整復術 非観血的なもの - - - - -
当院では500例近い分娩出産があります。小児科は産婦人科と連携し、児にリスクのある分娩(緊急帝王切開含)には小児科医が立ち会い、出生後呼吸が十分出来ない新生児仮死などでは必要な心肺蘇生を出生直後から行っています。この蘇生処置等が小児科の手術例として扱われています。腸重積は腸が腸の中に入り込んでしまうことによる主に乳児におこる腸閉塞で、突然嘔吐やイチゴゼリー状の血便にて発症し、放置すればショックとなり腸が壊死化します。注腸等非観血的に整復できる場合が多く、早期診断早期治療が重要です。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満) - - - - -
K0133 分層植皮術(100cm2以上200cm2未満) - - - - -
皮膚科では、再建不要な悪性・良性腫瘍の切除術、抜爪などの爪の手術などを適宜行っています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 122 0.16 2.28 4.92% 69.38
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの 等 68 1.62 3.46 0.00% 74.71
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 47 1.06 9.94 0.00% 68.91
K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの 45 1.51 2.67 0.00% 60.13
K785 経尿道的腎盂尿管腫瘍摘出術 22 1.55 2.32 0.00% 72.73
泌尿器科疾患における治療は、尿路性器癌(腎癌、腎盂尿管癌、膀胱癌、前立腺癌)に対するものが最も多くなっています。その内訳として、腎癌に対しては、早期の場合、積極的に腎温存手術(ロボット支援腎部分切除術)を行い、腎温存のできない大きな癌に対しては、鏡視下腎摘除術を行っています。転移を有する進行癌に対しては、薬物療法や免疫療法を主体に治療を行っています。腎盂尿管癌に対しては、早期の場合、鏡視下での手術療法を行い、転移を有する進行癌に対しては全身抗癌剤治療、免疫療法を主体に治療を行っています。膀胱癌に対しては、早期の場合、内視鏡手術を中心に治療を行い、転移のない進行癌に対しては膀胱全摘(ロボット支援手術)を、転移を有する進行癌に対しては全身抗癌剤治療、免疫療法を主体に治療を行っています。前立腺癌に対しては、早期の場合ロボット支援手術を行い、転移・進行癌に対しては内分泌、放射線、全身抗癌剤治療などを行っています。悪性腫瘍以外の疾患では、腎尿管結石に対しては、結石の大きさや状態に応じて、体外衝撃波結石破砕術や細径内視鏡下のレーザーを用いた砕石術を行っています。また、婦人科疾患や消化器疾患に伴う尿管狭窄に対して尿管ステント留置による尿路確保を積極的に行っています。
産科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術 選択帝王切開 等 39 4.82 7.18 0.00% 31.15
K8981 帝王切開術 緊急帝王切開 21 2.57 7.57 0.00% 35.19
K9062 子宮頸管縫縮術 シロッカー法又はラッシュ法 10 2.00 4.90 0.00% 33.40
K9091イ 流産手術 妊娠11週までの場合 手動真空吸引法によるもの - - - - -
K9122 異所性妊娠手術 腹腔鏡によるもの - - - - -
妊娠・出産はほとんどの場合が順調に経過しますが、母体や胎児、あるいは両方に突然問題が起こることがあります。妊娠初期にはさまざまな理由で10~15%が流産になるとされています。主な原因は胎児側の要因で自然淘汰と考えられます。お腹の痛みと生理よりも多い出血があって、多くは自然流産となりますが、子宮内にとどまることがあります(稽留流産)。その場合は子宮内容除去術(流産手術)が必要になることがあります。子宮内ではなく卵管や卵巣などに妊娠することがあり(異所性妊娠)、お腹の中で大量に出血し、かなり強い下腹部痛が起こり、ショック状態となることがあります。手術をしなくてすむこともありますが、できる限り腹腔鏡下に手術を行います。切開創が小さく、早期退院が可能です。お腹の強い張りや痛み、子宮の出口(頚管)が短じかくなったり緩む・開くなど、放置していれば流産・早産となる可能性の高い状態を切迫流産・切迫早産と言います。自宅安静や張り止め薬を飲んでも症状の改善が認められない場合は、入院となり、さらなる安静と張り止め薬の点滴をして、流早産を防ぎます。子宮頚部円錐切除術後や前回早産歴のある方、また早い週数に頚管が短くなったり、開いてくるような子宮頚管無力症の方には子宮頚管縫縮術を行います。骨盤位や多胎妊娠、既往帝王切開後、胎盤の位置異常などは、帝王切開を行っています。妊娠経過が順調で、経腟分娩をトライしていても、分娩が進行しなかったり、母体合併症の悪化や妊娠に伴う合併症(妊娠高血圧症候群など)の悪化、胎児にストレスが認められた場合(胎児機能不全)は緊急で帝王切開となる場合があります。帝王切開率は約25~30%となっています。お母さんにとって安心してお産ができ、元気な赤ちゃんを迎えていただけるよう、お手伝いしていきます。
婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 腹腔鏡によるもの 等 56 0.93 3.98 0.00% 39.98
K877 子宮全摘術 53 1.30 7.36 1.89% 49.02
K867 子宮頸部(腟部)切除術 50 0.94 0.96 0.00% 42.78
K877-2 腹腔鏡下膣式子宮全摘術 等 45 1.00 4.80 0.00% 48.80
K889 子宮附属器悪性腫瘍手術(両側) 等 30 1.53 7.43 0.00% 53.93
婦人科において、(②と④)子宮全摘術は一番多い手術です。子宮筋腫、子宮腺筋症などの良性疾患の根治手術となります。子宮の大きさや分娩歴、過去の開腹手術既往など、条件を吟味して、②の開腹子宮全摘術を行うか、④の腹腔鏡下子宮全摘術を行うかを選択します。 ③子宮頚部(腟部)切除術は円錐切除術と言われ、子宮腟部高度異形成という子宮頚癌の前癌病変や、ごく初期の子宮頚癌に対する、診断・治療目的の手術です。子宮頚癌検診を定期的に受けていただくと、この前癌状態で早期発見できます。この手術によって子宮を温存できれば、将来の妊娠の可能性を残せます。 ①子宮附属器腫瘍摘出術(腹腔鏡によるもの)は、良性の卵巣腫瘍(卵巣嚢腫)を対象としての手術です。卵巣卵管を全摘する方法と、腫瘍部分のみを取り除く方法があります。子宮全摘術と同様に、アプローチの方法によって開腹手術と腹腔鏡下手術の方法がありますが、令和2年はほとんど腹腔鏡下手術を実施しました。 ⑤子宮附属器悪性腫瘍手術は、卵巣癌・卵管癌に対する根治手術です。子宮全摘術+両側附属器(卵巣、卵管)摘除術、に加え、骨盤内~傍大動脈リンパ節郭清、大網切除術など行う大きな手術です。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 82 0.00 1.00 0.00% 75.01
K279 硝子体切除術 - - - - -
K2822 水晶体再建術 眼内レンズを挿入しない場合 - - - - -
眼科における入院での手術の大部分は、白内障手術です。当院では、日帰り手術も施行していますので、実際の症例数や種類は上記よりも多いです。
耳鼻咽頭科・頭頸部外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 等 43 1.67 7.14 0.00% 22.42
K3932 喉頭腫瘍摘出術 直達鏡によるもの 等 12 1.17 1.17 0.00% 65.00
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術III型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 等 10 1.40 6.20 0.00% 56.70
K6261 リンパ節摘出術 長径3センチメートル未満 - - - - -
K4691 頸部郭清術(片) 等 - - - - -
耳鼻咽喉科・頭頸部外科で1番目に多い口蓋扁桃手術・摘出は慢性扁桃炎、IgA腎症、睡眠時無呼吸症候群の患者さんに対して、症状改善目的で施行します。
2番目の喉頭腫瘍摘出術は声帯ポリープの摘出や喉頭病変の診断・治療のために施行します。
3番目の内視鏡下鼻・副鼻腔手術は慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の患者さんで、投薬でのコントロールが困難な方に対して、症状改善目的で手術をします
4番目のリンパ節摘出術は頸部リンパ節の腫脹や腫瘤を摘出し、診断を確定する目的の検査手術です。
5番目の頸部郭清術(片側)は頸部リンパ節郡が存在する頸部領域の腫瘍細胞を根絶するために手術をします。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 39 0.36%
異なる 29 0.27%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 77 0.72%
異なる - -
当院の症例数が10症例未満の項目は表示が 「 ‐ (ハイフン) 」 となっています。
播種性血管内凝固症候群については、どの症例においても様々な原因からこの疾患を発症しており、高度な医療を提供していることから、臨床的な根拠に基づいて妥当であると考えています。
次に敗血症については、医療資源傷病名と入院契機傷病名が同一であるものが39症例あり、異なるものは29症例となっています。尿路系疾患や癌、胆管胆のう疾患などが原因で全身状態が悪化し、重症な病態から敗血症に至った症例です。
そして、手術・処置等の合併症については、術後の出血及び感染・体内挿入物の位置異常が挙げられます。
更新履歴
令和3年9月27日
香川県立中央病院 病院指標を公開しました