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脳卒中医療(未破裂脳動脈瘤 専門的ノート)

未破裂脳動脈瘤の自然歴についてこれまでの報告のまとめ

では未破裂脳動脈瘤はどのくらいの率で出血するのでしょうか?その数値に関しては日本や欧米から多くの後ろ向き研究報告がなされています(表2)。日本では10年以上まえから様々な検討がなされており、動脈瘤が発見され、なんらかの理由で治療されなかった症例を数年から10年以上にわたり経過観察した患者さんのまとめから年間1~3%の破裂率が報告されています。すなわち未破裂脳動脈瘤が見つかった場合、何もしないで10年間みていると約10~30%の確率でくも膜下出血をおこすと考えられるわけです。フィンランドからもくも膜下出血をきたした患者さんで、その他に破れていない未破裂脳動脈瘤を経過観察したところ年間1.3%程度の破裂が観察されたと報告されました。また最近国際未破裂脳動脈瘤調査(ISUIA)という白人を中心とした研究結果がNew England Journal of Medicine(1998年)やLancet(2003年)という極めて権威のある欧米紙に発表されました。その結果はこれまでの症例をまとめたものと、前もって決めた症例をその後の経過をみてまとめたもの2種類が報告されました。それらの報告によると最初に報告された論文では1センチ未満の小型の動脈瘤でくも膜下出血に合併していないものは殆ど破裂しない(年間0.05%)と報告されました。しかしその後その値は変更され7ミリ以下で、脳の前方になる動脈瘤では年間0.5%以下、7ミリ以上であれば大きさにより0.5~8%程度、脳の後方の瘤では7ミリ以下では0.5~0.7%、7ミリ以上では数%以上と報告されました。上記ISUIAの前向き報告を含めてこれまで3つの前向き研究が報告されています。以上のような検討から未破裂脳動脈瘤の破裂しやすさはその大きさ、場所(脳の前方か後方か、中央にある瘤かはじのほうにある瘤か)、形状(不規則な形をしているか)、多発性か、くも膜下出血をきたした破裂動脈瘤に合併したものか?くも膜下出血の家族歴があるか?高血圧はあるか?喫煙はするか?など様々な因子に影響されることが明らかとなりつつあります。また2010年日本の国立病院グループを中心としたSUAVe研究の結果がStoke誌に報告されました。この結果によると5mm未満の瘤の破裂率は年0.54%でした。破裂に有意に関与する因子は多発性、4mm台のサイズ、高血圧を有する患者、50歳以下の若年者でした。また本研究の観察期間中25例30個の瘤の拡大が認められ年間拡大率は1.9% でした。こちらも上記と同様な因子と喫煙、女性の性が関与することが示されました。

以上のような情報をまとめると現段階では、未破裂脳動脈瘤の破裂率は5~7ミリ以上の大きいもの。脳の後方の瘤で破裂率が高く、7ミリ以上であれば10年間で10%以上の破裂率を有しているようです。また5ミリ未満でも10年間で5%程度の破裂率はあるようです。また瘤は年数とともに大きくなってゆく可能性がありますので、小型の瘤でも慎重な経過観察が必要です。また観察される場合、また治療後も瘤の拡大、新生を防ぐためには高血圧を良好に治療し、禁煙を心がけることが重要と考えられます。

日本においては以前からくも膜下出血の人口別の頻度は欧米の2~数倍あるといわれており、未破裂脳動脈瘤の破裂率も欧米の結果よりも高い可能性があります。そこで現在日本脳神経外科学会がUCAS Japan(日本未破裂脳動脈瘤悉皆調査)という研究を推進し、調査に参加している施設であらかじめ登録された未破裂脳動脈瘤をもつ患者さんの動脈瘤は同様な自然歴をたどるのか、また治療の危険性はどの程度であるのかを把握するよう検討しています(UCAS Japan)。

表2:未破裂脳動脈瘤自然歴にかんする後ろ向き研究のまとめ
著者、年度 症例数 平均年齢 観察期間 年間破裂(%) 破裂に関与する因子
Yasui、1997 234pt、303an 59.6 75.1mo 2.3 multiplicity
Rinkel、1998 3907 pt・yr -   1.9(1.5~2.4)
<1cm:0.7
>1cm:4.0
symptomatic、
sex
size、
location
ISUIA、1998 727pt、977an 56 8.3yr、12023pt・yr <1cm: 0.05
>1cm: 0.5%
size
722pt、960an 49.4   0.5%  
Juvela、2000 142pt、181an 41.9 19.7yr
2575pt・yr
1.3 smoking
older age、size
Tsutsumi、2000 62pt、 70.8 4.8yr 2.3 size
Morita、2005 911pt   3801pt・yr 2.7 Size、Posterior、Symptom
Wermer、2007 4705pt、6556 an   26122 Pt・yr 1.2%:~5y
0.6% 5-10y
1.3%:10y~
Age>60、Female、Japanese or Finish、size>5mm、Posterior、symptom

略語: pt: patients、an: aneurysms、pt・yr: patient・year

表3:未破裂脳動脈瘤前向き研究のまとめ
著者、年度 症例数 平均年齢 観察期間 年間破裂(%) 破裂に関与する因子
ISUIA、2003 1692pt、
2686an
55.2 4.1yr、6544pt*yr 0.78 Size、Posterior location、history of SAH
Ishibashi、2009 419pt、
529an
  2.5yr
1039pt*yr
1.4 History of SAH、size、posterior location
Sonobe
2010
376pt
448an
All<5mm
62 41mo
1306pt*yr
0.54 Multiple、size、HTN、Age<50

略語:pt: patients、an: aneurysms、pt・yr: patient・year an*yr: aneurysm-year SAH: subarachnoid hemorrhage

治療のリスク

治療に伴う合併症率も未破裂脳動脈瘤の治療適応を決定する上で、大きな因子である。治療による合併症の発生率は1.9~12%と報告されている。

しかし論文に掲載されている治療成績は注意して検討する必要がある。Yoshimotoらによると、50例以上の未破裂脳動脈瘤報告のうち報告の種類により合併症率が大きく異なる。単一施設の後ろ向き報告では1457例のうち合併症+死亡率7.8%と比較的合併症率が低い傾向があり、一方で4つの多施設研究またはコミニュティー研究(5401例)ではこの値は20.3%、メタアナリシスは合併症+死亡率はそれぞれ5.0%、12.7%であり、単一施設報告の結果を反映していた。成績の良い報告が出版されやすく、その出版されたデータをもとにしたメタアナリシスは良い成績になりやすい。また各施設の治療成績も各々の施設へ紹介される患者の重症度や各施設の治療適応によって成績も異なる。

表4にこれまで報告されている未破裂脳動脈瘤治療成績をまとめる。特に近年の報告では脳高次機能や生活の質(QOL)に配慮した慎重な治療を行うことが重要視されています。

表4:未破裂脳動脈瘤の治療成績
著者、年度 症例数 研究方法 治療リスク 治療成績に関与する因子
Wirth、1983 107pt、119an
open surgery
Multicenter
Retrospective cohort
12centers
Mortality:0
Morbidity:6.5%
Size、location
King、1994 733pt
open surgery
Meta-analysis
28studies
Mortality:1.0(0.4~2.0)%
Morbidity: 4.1(2.8~5.8)%
None
Raaymarker、1998 2460pt
open surgery
Meta-analysis
61studies
Mortality:2.6(2.0~3.3)%
Morbidity:10.9(9.6~12.2)%
Old publication、Giant an、osterior circulation
Murayama、1999 115pt、120an
endovascular
Case series
retrospective
Morbidity: 4.3%
Complete occlusion: 91%
Unsuccessful coil: 5%
Delayed rupture: 1
Early series
Johnston、2001 2069pt
1699: open surgery 370: endovascular
Multicenter retrospective
cohort
Mortality:3.5%(open)、0.5%(endo)
Morbidity:25%(open)、11%(endo)
Open surgery
ISUIA、2003 1917pt
open surgery
Multicenter、prospective
cohort
61centers
Mortality: 1.5%
Morbidity:11.7%
(1month)
Size、Age、
Location、
Ischemic disease、
symptom
451pt
endovascular
Mortality: 1.7%
Morbidity:7.3%
(1mo.)
Complete occlusion: 51%
Unsuccessful:5%
 

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