最終更新日:2022/03/15

脳血管疾患等リハビリテーション

脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)、頭部外傷、脳腫瘍などの患者さんが入院されたら、早期より、呼吸・循環・意識状態や神経症状の変化に注意しながら、安静臥床によって生じる肺炎などの合併症や四肢の関節の拘縮を予防し、起き上がって過ごす練習や車椅子移乗、立位・歩行の練習を進めます。身の回りのことをする練習や日常生活で必要な作業を行う練習も行います。言葉やコミュニケーションの障害、食物を飲み込む機能の障害に対するリハビリテーションや、記憶力や注意力の障害、作業遂行機能の低下などの高次脳機能障害に対するリハビリテーションも行っています。
また、脳卒中の患者さんについては、当院での急性期の治療が終わった段階で、回復期に充実したリハビリテーションを行えるように、脳卒中地域連携クリティカルパスに沿って、地域連携室と協力してリハビリテーション専門の病院への転院を支援しています。

理学療法

脳神経疾患の患者さんに対して、呼吸・循環・意識状態や神経症状の変化に注意しながら、肺合併症や拘縮の予防に努め、起き上がって過ごす練習や車椅子移乗、立位・歩行練習などを実施します。

予定された手術の場合は、可能であれば手術前から介入して患者さんの状態の評価と運動の指導を行い、手術合併症の危険性軽減を図ります。手術後には、手術前後の状態の変化を評価してリハビリを進めます。

以下の練習をできるだけ早期から進めていきます。

  1. 合併症予防(排痰の促進、深部静脈血栓症発症の予防、拘縮の予防)
  2. 離床(起き上がり、端座位保持、立ち上がり、立位保持、車いす移乗、車いす座位など)
  3. 歩行(つたい歩き、歩行器歩行、杖歩行、独歩など)
  4. 応用歩行(バランス練習、階段昇降など)

作業療法

脳神経疾患の患者さんに対して、上肢の機能、日常生活の機能、また、高次脳機能について、評価を行います。そして、それらの機能の改善を図り、日常生活が円滑に行えるための工夫を行います。

以下の評価と練習をできるだけ発症後早期に開始します。

  1. 身体評価・回復練習、利き手交換練習
  2. 日常生活動作練習及び指導
  3. 高次脳機能評価・練習
  4. 福祉用具の利用の指導

言語療法

  1. 失語症(適切な言葉を話せなかったり、言葉を理解できない状態)の患者さんでは、言語の練習やコミュニケーションの手段を獲得できるように支援します。
  2. 構音障害(発音の障害)の患者さんでは、発音の練習や発話の速度の調節などを行い、聞き取りやすい言葉が話せるように練習します。
  3. 嚥下障害(飲み込む機能の障害)の患者さんでは、安全に飲み込める食品を調べ、食事のときの姿勢や、一口の量を調節して食事を進めていきます。飲み込みの機能が改善するように練習し、できるだけ楽しく、安全に食事をとれるように工夫していきます。
  4. 高次脳機能障害(注意、記憶の障害)の患者さんでは、注意力や記憶力の向上を図り、記憶については代替手段等用いて、家庭や社会での生活が円滑に行えるよう、支援していきます。