最終更新日:2023/08/23

腎臓・膠原病内科の実績

 検尿異常やネフローゼ症候群の症例では、腎生検による臨床病理学的診断を積極的に行っています。蛍光抗体法、光学顕微鏡検査を当院病理診断部の協力で行い、必要に応じて外部に電子顕微鏡検査を委託することで、より正確な診断を行っています。的確な診断を行うことにより、活動性の強い腎疾患にはステロイド剤、免疫抑制剤、抗凝固剤、降圧剤を中心とする多剤併用療法にて腎機能障害の改善に努めています。また、症例により血漿交換などの血液浄化法を用いて治療を行うこともあります

腎生検件数 および腎炎・ネフローゼ症候群の治療

年間腎生検は40件程度であり、当科では2泊3日の入院スケジュールで腎生検を施行しています。抗凝固薬を内服中、あるいは貧血等を認める症例については、さらに数日前から入院していただいています。検査にかかる時間は15分程度ですが、検査後、仰臥位で8時間床上安静が必要となります。腎生検に伴った合併症なく経過すれば、検査翌日は病棟内で安静を保ち、検査後3日目に退院となります。若年者に多いIgA腎症に対しては、耳鼻咽喉科に依頼し扁桃腺摘出術を行い、その後ステロイド・パルス療法を行うことで、寛解を目指した治療を行っています。また、ステロイドに対して抵抗性のあるネフローゼ症候群に対しては、ステロイド療法に加え、免疫抑制療剤を併用することで高い寛解導入率を達成しています。膠原病関連腎症や高齢や合併症を持った患者さんにも対応しています。

腎生検査数 グラフ

維持透析導入患者数 および腎センターの役割

2022年の1年間で、透析導入した患者さんは約40名です。新たに透析を始める患者さんには、ご本人の希望に応じて腎代替療法選択外来を受診していただき、血液透析もしくは腹膜透析を選んでいただいています。約9割の患者さんが血液透析を選択されています。透析導入(血液透析、腹膜透析)された患者さんは、利便性を考慮し、最寄りの透析医療機関へ紹介させて頂いています。
 当院では、それぞれ約30名の血液透析、腹膜透析の患者さんが外来通院されています。 そのほか、臨床工学技士の協力のもと、様々な自己免疫疾患に対する血漿交換療法/免疫吸着療法などのほか、末梢血幹細胞採取や腹水濾過濃縮再静注法など他科と連携をしながら特殊血液浄化を行っています。また、最寄りの医療機関で透析治療をされている方が、他疾患による検査や加療を行うため当院入院された際の透析管理を行っています。

透析導入数 グラフ
特殊血液浄化件数 グラフ

 特殊血液浄化:血漿交換療法、白血球除去療法、LDLアフェレーシス、免疫吸着療法、ビリルビン吸着療法、末梢血幹細胞採取、腹水濾過濃縮再静注法

過去1年間の生物学的製剤・分子標的治療薬投与患者数

 現現在、関節リウマチ患者さんに対して生物学的製剤が積極的に使用されています。2022年の実績では、当院では約120名のリウマチ、膠原病患者さんに生物学的製剤・分子標的治療薬を導入しています。なお当院ではリウマチや血管炎などの膠原病の治療の初期導入を行い、その後は、リウマチ専門医の在籍している宇多津病院、玉藻クリニック、KKR高松病院、はちまんクリニックで維持治療を行う、病病・病診連携を図っています。